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「それに、彼らはこの社会に不適合とされた者たちだ、もう人間と呼ぶに値しない」

異常とも思える発言だが反論する者は誰ひとりいない
皆その言葉に頷き、感心する者さえいた

壱陽はコツコツと壇上を歩きながらその口から背徳的な言葉を吐き続ける

「君たちはそれを狩り、そして糧にする、人類のよりよい進化の為に」

私たちはまだ進化することができる。その可能性を追い求めるのは本能であり正義だ
出来の悪い生徒に言い聞かせるようにそう兵士達に刷り込む

「これは大義だ。遠慮など必要ない。奪い、嬲れ、彼らには我々の進化の為に役立ってもらおうじゃないか」

最初の方は少し不安げだった兵士達は見る影もなく自信に満ちあふれた表情をしていた
己の行為が正当化されたように錯覚してしまっている

その錯覚を煽るように壱陽は演台を大げさに叩き言葉を締めた

「もし神が罰を下すというなら、その神を殺せばいい。己の信ずる者が君たちの神だ」

締めの言葉に誰からともしれない拍手が起こりたちまち広がった
気のおかしくなりそうな演説だが兵士達は誰もが褒め称えるように拍手を止めない

それは壱陽が壇上から姿を消してもしばらく続いた

その異常ともいえる様子を遠巻きに見つめながら口笛を吹く男が一人
年の割に老人のような真っ白な白髪に度のきつそうなメガネ、そしてぶかぶかの白衣を着ていた

「…あいかわらずの破壊力だね。あの人の"負の演説"は」

何人がまたこの洗脳でお人形になっちゃうのかなぁ

そうひとりごちながら白衣のポケットに手を突っ込み携帯型の無線を取り出した

「…あ、俺だよ。うん、豹壱と話したいな。今どうしてる?」


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あきゅろす。
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