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それを受け取り205は汗を拭った
少し湿っているシーツを握りしめ黙り込む205に署長は言う
「…うなされていたが」
「ガキの頃の夢だよ…猫の」
ぽつりとつぶやく205に署長は眉を潜めた
署長自身もその場に居たので知っていた
署長でさえ嫌悪するような残酷な壱陽の真似を
あの仕打ちの後しばらくして205は泣くのをやめ会場に戻った
パーティでは無理をして笑い子供なりに世間体を気にする姿が署長の目にも痛々しく映ったのを覚えている
子供らしく笑っていた205はそれきりあまり笑わない子供になってしまったのだが
何をしても、何をもらってもどこかひねくれた態度を返すようになった
今でこそだいぶ変わった205ではあるがいまだに過去の傷を抱えたままであることに変わりはない
「…豹壱」
「…鷹見、覚えてるか…?あの時の言葉」
「…もちろんだ」
先を聞かずとも205の言いたいことが署長にはわかっていた
誕生パーティが終わった後一人泣いていた205を慰めようと部屋に行った時のことだ
大丈夫かと声をかけた署長に幼い205が返した言葉
"俺に構わないほうがいいんじゃない、鷹見まで剥製にされちゃうよ"
冗談めかした言い方だったが壱陽ならやりかねない為署長は笑えなかった
子供が言うにはあまりに酷い台詞だ
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