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目に飛び込む黒いそれ

"お前が最近気に入っていたようだから"
"ぁ…"

小さな黒猫の姿がある
ただそれは

"剥製にしたんだ、よくできているだろう?お前が喜ぶだろうと思ってな"

笑う父親とまわりの大人達
皆口々にによく出来た剥製だ、やらなにやら話しているがそれが全て遠くに聞こえた

硬められた生気のない無機質な瞳がこちらをじっと見つめていた

少年はたまらなくなり何も言わず部屋から飛び出す
もう動かない"友達"を想い涙が止まらなかった

そばにいたのはたった数週間
名前すらつけてやらなかった小さな猫との思い出が頭をよぎった

"う、ぁ…っひ、ぐ"

自身の部屋でぼろぼろと涙を零しうつむく
関わらなければよかったと後悔しても遅い

ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返し謝る

"いきなり逃げるなんて皆さんに失礼じゃないか"

部屋に入ってきた父親に肩をビクつかせ少年は信じられないものを見るような目でそれを見つめる

"猫を飼いたかったならちゃんと言いなさい、こんな雑巾みたいなモノじゃなくきちんとした血統書つきの猫を用意してやる"

硬くなってしまった"友達"を地面に放り投げ父親は薄く笑う
見上げる少年はその冷酷な瞳に息も出来ずただ怯えた

"なァ?豹壱"

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