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side story
あの頃は…




「可愛げがあったんだけどなぁ…」


「なんですかマスター、藪から棒に」


「お前最近暴力的になったよな。がたいもでかくなったし」


「そりゃあ僕だって成長くらいしますよ」


「暴力的なのは成長とはいわねぇよ」


「マスターが言っても聞かないからいけないんです!」


「あー、昔は人見知りでいつも陰でびくびくしてたのになぁ…」


「……昔のことですよ」


「今じゃ愛想笑いが顔に貼りついちまってるもんなー」


「マスターみたいに四六時中ムッツリしてるよりはマシです」


「本っ当に可愛げねぇ…」


「結構ですよーだっ」


「そんなお前は年上に人気があるらしい」


「だから…って、は………?」


「なんでもお前は“年上のおねーさんが構いたくなっちゃう”タイプだそうだ」


「なんですかその微妙なタイプ」


「いわゆる年下萌!だそうだ」


「マスターがそんなこというの聞きたくなかったです」


「俺だってまさかこんなこと言う日がくるなんておもわなかった」


「てゆうかそれ誰が言ってたですか?」


「常連客のネーチャン」


「漠然としていて全然検討がつかないんですけど…」


「あーぁ、昔は可愛かったのに」


「またその話にもどるんですか」


「せめてもーちょっと素直だったらなー…」


「失礼ですね、僕は巷でも素直だと有名な…」


「自分でそんなこというやつは素直じゃねぇって」


「う…」


「あぁ、どこで教育を間違えたのか…」


「…………」


「小さいころ、お前が寒いだろうと思って、だとか適当に理由をつけて湯タンポがわりにして寝たのがいけなかったのか…」


「え、あれそうだったんですか…」


「はたまた仕入れで留守番させてる間に何か変なギャンブルに内緒ではまってしまったのか…」


「僕が留守番している間に内緒でギャンブルしてたのはあなたでしょう」


「うーん…何を間違えたのか…」


「…………」


「うーん………」


「………僕ってそんなに可愛げないですか」


「ん?」


「僕は拾ってもらった身だし、マスターが不満なら…」


「悪い、今までの嘘」


「………へ?」


「お前、ほんと面白いよな。からかい甲斐があるっていうか!」


「な………」


「あ、常連客のネーチャンが言ってたのは本当だ」


「…………マスター」


「ん?」


「ふざけるのも、大概にしてください!!!」


「じ、ジン!それ、椅子……ぎゃぁぁぁぁ!!!」






おわり。












あきゅろす。
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