君を想う歌声
7
俺は見当違いの考えに
行き当たっている事に
全く気付かず、話を続ける。
「だったら、俺は剛志って呼ぶよ」
だって、桜なんつー女みたいな名前で
呼ばれんの普通嫌だろ?
でもこの子は大人しいから、
きっと皆に言えないんだよ。
「あ、俺が剛志って呼ぶの、
馴れ馴れしい?」
「そ、そんな事ないです!!」
剛志は首をブンブンと横に振った。
「なら剛志でいいよな。俺は……」
「はい! 知ってます!
KAZUですよね!?」
「いや、そりゃそうなんだけどさ……」
剛志は目をキラキラ輝かせて、
俺を見つめてくる。
そんなにキラキラした目で
見つめちゃイヤン☆
とまぁ、バカな考えは
取りあえず放棄して……
「俺の本名、工藤和臣っての」
「…………………………」
なんも反応ないな……
「どしたの?」
顔を覗き込むと、
呆然としたような表情をしていて、
目がどこか虚ろだ。
「ほ!」
ほ……?
「ほ、ほ、ほ…………」
ほほほ?
何が言いたいんだ?
「本名ですか!?」
「!?」
剛志が目を大きく見開いて、
興奮しながら俺に詰め寄ってくる。
.
[*BACK][NEXT#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!