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(ブラック姉妹)







「私は、この家をでます」
二番目の姉、アンドロメダは毅然と告げた。
その告白にナルシッサも一番上の姉、ベラトリックスも驚き、悲しんだ。
「本気でいっているのか?ドロメダ」
泣かないように眉根を寄せてベラトリックスが問う。
「ええ。この家をでて、わたしはテッドと結婚します」
「ドロメダ…」
薄々とわかっていたことではあるが実際に聞くと重く心にのしかかる。
ナルシッサは悲愴な顔をしながらそっとアンドロメダを見つめた。
「それは我がブラック家のタペストリーから名を燃やし、二度とこの家の敷居をまたがないということだな?」
家系図の書かれたタペストリーから名を燃やされるという事は一族から裏切り者としてあつかわれることを指す。
三姉妹の従兄弟、シリウス・ブラックがそうだったように。
「…そうよ。私は、闇には、染まらない」
「そんな…!私はまだ、ドロメダと…!」
闇の陣営と深くかかわるこの家を出ていくことは三姉妹の対立を意味していた。
ナルシッサはとうとう泣き出した。
泣きながらまだ一緒にいたいのだと訴えた。
「私たちと二度と会わないと、会ったときは殺すときだと、誓えるか」
誰よりも妹を大切に思ってきたベラトリックスが精一杯の虚勢で、ひどく悲しい別れの誓いを口にした。
「ベラ…!やめて!お願い…!ねえ、嫌だと言って…言ってちょうだい…ドロメダ…」
「ごめんなさい、シシー。私の答えはどんなに願われても頼まれても変わらないわ。…誓うわ」
はっきりと、アンドロメダは決別を認めた。
もう会わないと、誓った。
「そうか。…さようなら、アンドロメダ。お前の事好きだったよ」
「な…なんで…!ベラ!ドロメダ!」
本当は、誰も別れたくなんてないのだ。
お互いがお互いを愛してきたのだから。
「聞き分けて、シシー。私も、二人の事大好きだったわ」
そう言うとアンドロメダは振り返ることなく家を後にした。
残されたのは、ナルシッサの泣き声とベラトリックスの絶望だった。

誰が見ても仲がいいといわれ続けた三姉妹は二度と会わないと誓い、違う道を歩み始めた。



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