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(ドラパン)学生時代







 さらさらと透き通るブロンドの髪の毛が風に揺れる。
気持ちのいい昼下がりだった。
ドラコがうつらうつらと船をこぎだすのも、仕方のないことだった。
「ドラコ?眠いの?」
隣に座っていたパンジーが訊ねても、返事はうつろだった。
もう、とため息のような声をもらしながら笑った。
「はい、膝かしてあげる。次の授業までには起こしてあげるから寝ていいよ」
「んあ…?」
驚いてドラコが隣をみると、綺麗にひざを折り曲げてくれていた。
膝枕をしてくれようと言うのだ。
普段なら恥ずかしいと断るところだが、今日のドラコは一段と眠かった。
優しさに甘えて一眠りさせてもらうことにした。
「ありがとうな、痛くなったら、おこしてくれていい、か、ら…」
話しながらすでに頭は夢の中だった。
くすくすと笑う声を遠くのほうで聞きながらゆっくり眠りに落ちていった。
さらさらとなびく髪の毛を丁寧に指でとかしながらパンジーは微笑んだ。
よく眠れるように、と子守歌のように歌を口ずさんでいた。
それは子供の頃に聴いた歌であったり最近の歌であったり、選曲はまばらだった。
すーすーという静かな寝息が聞こえはじめたので少しだけ歌うことを止めた。
ほんとうに静かな時間がすぎていく。
耳を澄ませば鳥のさえずる声、木々のざわめき、風のそよぐ音が聞こえた。
「ほんとに、気持ちいい午後ねえ…」
パンジーもうとうとしてきてしまったので、歌を歌って目を覚ますことにした。
今度は先ほどとは違い、ドラコを起こさないようバラード調のものを小さな声で口ずさんだ。
 しばらくして、お昼の時間もそろそろ終わりに近づいてきた。
(こんなにぐっすり眠ってるとこ、可哀想だけど…)
そう思いながらドラコを揺り起こす。
「起きて、ドラコ。もうすぐ薬草学の時間だわ」
それでもドラコはすやすやと起きる気配はない。
「ドラコ、ドラコったら」
肩をたたきながら声をかけると、気だるげな声で返事が返ってきた。
ふ、と頬をゆるませながらおはよう、と挨拶した。
「ん…。あ、パンジー」
「?なあに…?」
眠そうに目をこすりながら話す姿はまるで子供のようだった。
パンジーはすこしだけ母親の気分で聞き返した。
「さっき…歌ってたのは、パンジー?」
聞こえていたのかと驚きながらうなずいた。
「歌うまいんだな。んっ、あー!よく、寝た」
ドラコはぱんぱん、とズボンに付いた草を払いながらのびをしている。
一方パンジーはなぜだか顔がかあっと赤くなるのを感じながら、ぼそりとありがとうと返した。
「行くか」
すっ、とドラコが手をさしのべる。
なんだか姫の気分だなあなどと思いながらパンジーは立ち上がった。
なんだか残念に思う気持ちに見合う名前がわからないまま、ふたりは温室へと歩きだした。


彼女がこの気持ちが恋だと気づくのは、もう少し先の話。


あきゅろす。
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