(リマ→シリ)学生時代
優 し い ひ と と 嘘 つ き な ひ と
人生が、もしジグソーパズルだったとしたら。
そんな風に考えることがある。
誰といても、どこにいても、拭えない違和感。
僕はきっと、はまらないピースなんだろう。
ちがうパズルのピースをむりにはめようとすれば、何かが壊れていく。
だから、だから僕は。
「なーに考えてんだ?」
はっとして振り返ると、優しい笑顔のシリウスがいた。
シリウスは、自分が認めたひとの前でしか笑わない。
だから笑ってくれることが嬉しくもあり、苦しくもあった。
僕は彼を裏切っているのだから。
人の面をした化け物。
それが、本当の僕。
「なんでもないよ。どうしたの、シリウス」
そう言って僕は笑う。
笑うのが、苦しかった。
すると突然シリウスがすっと無表情になった。
「…なんでもねえじゃねえだろ」
「え?」
「苦しそうに笑ってよ。なんかあったろ。俺なんかした?」
優しい言葉、優しい顔、優しい手。
彼の優しさが痛かった。
側にいれなくなる日がくるのが怖い。
この優しさと、ずっと一緒にいたい。
そして僕は実感するのだ。
どうしようもなく、彼が好きなのだと。
彼の隣にいたいのだと。
「ごめん…君のせいじゃないんだ。…いつか、いつかきっと、話すから…」
いつか。
その時はきっと、さよならの時。
「…ん、そっか。じゃあ待ってる。…さ、ジェームズんとこいこうぜ!たっく試合見に行かねーと一日中不機嫌になんだからよー」
シリウスは、リーマスの頭をぐしゃりと撫でると愚痴をいいながら歩きだした。
ありがとう、と小さく呟いて前を歩く彼の背中を追う。
願わくば、この幸せな時間がすこしでも長く続きますように。
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