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(ジニルナ)はじめまして






その子は今日もひとりだった。
憧れだったホグワーツに入学してから二年がたった。
やっとホグズミードに行けるようになり、週末になると友達と出かけるようになった。
そして、いつからか気づいたのだ。
とても綺麗なのにいつも一人ぼっちの女の子。
たしか寮の子たちがルーニーと呼んでいたはずだ。
「ねぇ、ひとりなの?」
色々な言い訳をつけて友達から離れたジニーは、その子に話しかけた。
下手なナンパだと自分でも笑いそうになる。
「そうよ。どうして?」
手に持っていたバタービールを置いて曇りのない笑顔がひろがった。
怪しまれなかったことに内心ホッとしながら自己紹介する。
「わたしは、ジニー・ウィーズリー。グリフィンドールよ。一緒にお茶してもいい?」
きょとん、としたがすぐにもとの明るい笑顔に戻って頷いた。
「もちろン、いいよ。あたしはルーナ・ラブグッド。レイブンクローだよ」
ルーナ・ラブグッド…。
名前を心に刻みつけるように反芻した。
ルーニーというのはあだ名なのかな、と思った。
「…ルーニーって呼ぶ人もいるよ。変人って意味でね」
ジニーの考え込んだ顔を見たからかルーナがそっと明かした。
すこしだけ、寂しそうに。
「変人?どこが?」
「さあ、わかンないけど…。そうだ、ジニーはナーグル、見たことある?」
話題を切り替えた途端、瞳がきらきらと輝きだした。
しかし残念ながらジニーはナーグルを知らないし、聞いたこともなかった。
「うーん…ないわ。どんなものなの?どこで見れる?」
「そうだなァ、ヤドリギの木とかによくいるよ。悪戯好きなんだ」
ヤドリギの木って、その下でキスをするとなんとやらっていうロマンチックなものじゃなかったっけ、と思い返す。
けれど見たことがないだけでそういう妖精みたいのものもいるのかもしれないな、と考えながら笑う。
「いつか見てみたいわ」
ロマンチックなふたりを邪魔する虫。
想像しただけで楽しそうだ。
正直に答えたのだが、なぜかルーナは目を丸くした。
「へへ…そう言ってくれたの、ジニーが初めてだ。嬉しいな」
ルーナがとろけるような甘い笑みをこぼす。
その笑顔に思わず見とれて、顔が赤くなるのがわかる。
(やだ、なんで…!)
そんなジニーの葛藤をよそに、ルーナはのほほんとしている。
「ねぇジニー、わたしと友達になってくれる?」
「え、もう友達でしょう?ルーナ」
きょとん、として聞き返す。
おかげで顔の赤らみも少しずつひいてきた。
「ほんと?嬉しい。ジニーは優しいね。あたし、ジニーのこと好きだな」
初めての友達だもン、と本当にうれしそうにバタービールを飲み干した。
一方ジニーは、一度下がった顔の熱が再び上がっていた。
ルーナの天然さと、素直さと、可愛さに、心臓の音は速くなるばかりだった。

これが、将来親友となる二人の出会いだった。


あきゅろす。
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