(リリナル←ベラ)学生時代
紅 茶 に 溶 け た 心 は 信 頼 の 証
ある日の午後、ひとりで窓辺に座っていた。
窓の外には紅茶を飲みながら悲しそうに空を見る妹がいた。
声をかけようとしたが、できなかった。
あまりに顔が悲しそうで。
あの子の笑顔なんてもう何年も見ていない。
昔から感情が表情にでない子だった。
なのに、ホグワーツであの子をみかけたときは、笑っていた。
赤毛の子の隣で幸せそうに笑っていた。
赤毛の子しかあの子の笑顔をひきだせなかった。
わたしじゃ、だめなのだ。
そう思うとなぜたがとても腹が立った。
同時に空しくなった。
姉妹など所詮血の繋がりだけで、あの子を幸せになどできないのか。
あの子になにもしてあげられないのか。
「どうしたの、そんなところで」
いつの間にか窓越しにあの子が立っていた。
「いや、別に、なんでも」
「そう?なんだか元気がないように見えたから…」
彼女は心配そうに眼を伏せた。
意外と鋭い。
「なあ、ホグワーツは、楽しいか」
自分でも阿呆みたいな質問をしたと思った。
「どうしたの、いきなり」
「なんでもない。忘れてくれ」
こんな質問をしても、ナルシッサが変わるわけではないのに。
自分の中に見つけた弱さに嫌気がさした。
「…でも、そうね。楽しいわ」
彼女はゆっくりと微笑んだ。
切なげな眼を空に向けて。
「…そうか」
自分で聞いたのに答えを聞くとなんだか悲しくなった。
彼女にはもう私など必要ないのだ。
「ねえ、やっぱり元気がないわ。どうしたの?」
「いいんだ、気にしないでくれ」
可愛い、可愛い妹。
お前が笑ってくれるならもう、いいんだ。
「よくないわ。なんだか私まで悲しくなるもの」
驚いてぱっと顔を上げるとほんとうに悲しそうな顔をしていた。
「…お前には、もう、頼れる人がいるだろう?」
私のほかに。
「え?…もしかしてリリーのこと?ならそれは、違うわ。あの子は光の中を突き進む子だもの。私とは…違う」
切なそうな眼をしながらきっぱりと言った。
「それに最後に頼ってしまうのは、やっぱりベラだわ」
彼女はにっこりと微笑んだ。
ああ、この妹には敵わないと思った。
「ありがとう、シシー」
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