(セブリリ)学生時代
隣 の 彼 女 は 無 邪 気 に 微 笑 む
ある青く晴れた日のことだった。
隣で本を読んでいたリリーが突然顔を近づけた。
澄んだ瞳の中に自分が映る。
好きな女の子の顔が間近にあって、しどろもどろにならない男がいるだろうか?
少なくともセブルスには無理だった。
桜色の唇や、長い睫毛、ぱっちりとした瞳、筋の通った鼻…。
間近で見れば見るほど全てが美しかった。
「ねえセブ、今日のお昼は外で食べない?」
「外…?うん、まあ、いいけど、どうして?」
リリーは意味深に微笑んだだけで何も答えなかった。
「あら、もう次の授業だわ!またお昼に会いましょう、セブ!」
そういい残して笑顔で去っていった。
次の授業まではまだあと二十分もあるというのに。
しょうがないのでセブルスももやもやとした思いを抱えながら地下寮へと帰っていった。
その日のお昼にリリーはうきうきと迎えに来た。
「さあ、行きましょう!」
セブルスはろくに返事もできないままリリーに引きずられるように外へでた。
いつも二人でまどろむ湖を越え、どんどんリリーは進んでいく。
「リリー!リリー!どこに行くの?」
この質問もすでに五回目だが、リリーは一向に答えてくれない。
ホグワーツ城がどんどん小さくなっていく。
「着いたわよ!さ、食べましょ!」
リリーがやっと止まった場所は花畑だった。
色とりどりの芳しい花が、風に揺れる。
「ふふ、綺麗でしょ?春を見つけたから、セブにも見せたかったの!」
リリーが最上の蕩けるような笑顔で話す。
ありがとう、という声は恥ずかしさと嬉しさで尻すぼみになった。
それから二人で広間から持ってきたご馳走を食べた。
いつも食べているご馳走は外で食べると格別においしかった。
もっとも、セブルスはご馳走よりもリリーを見つめてばかりいたのだが。
「あらセブったら。頬にクリームがついてるわ」
クスクス笑いながらリリーがクリームを指で拭う。
そしてなんとそのまま口に入れてしまった。
セブルスはあまりのことに言葉が出なかった。
真っ赤な顔で口をぱくぱくするしかなかった。
こんなときに思うのだ。
(やっぱり、リリーには敵わない)
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