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(黒兄弟)学生時代







同じ空にはいられない。
同じ光を放っても、同じにはなれない。
春と冬の星座。
近くて遠い距離。
おわらない鬼ごっこ。
おいつきたくて、おつかれたくて。
願いはだれも叶えてくれない。

「あ…」
レギュラスが次の授業の教室へと移動していると花の咲いた木の下でシリウスが眠っていた。
思わず足を止めて見入ってしまった。
兄には、春がよく似合うと思う。
明るくて暖かい、みんなに好かれる春。
いろんなところで花を咲かせ、喜ばせることができる。
いつだって光に包まれている。
どんなものでも包み込む無言の優しさ。
「ん…」
シリウスが目を覚ましたようで、伸びをしている。
レギュラスは慌てて駆けて行った。
見入っていたことを知られたくなかったのだ。
「今…レギュがいた気がすんだけどな…」
シリウスが眠そうな声で呟いた。
家を出てから会わなくなった弟。
避けられているのだと思う。
仕方のないことなのだ、と思いこもうとしたができなかった。
優しい弟、たったひとりの弟。
できることなら一緒にいたかった。
こちら側に来いと何度も言ったが頑として聞き入れようとしなかった。
まるで雪解けしない冬のように。
レギュラスは冬のようだと思う。
雪やマフラーが髪や色白の肌によく似合う。
温めすぎれば消えてしまいそうなほど儚くて。
かといって何もしなければ冷たい壁を作り上げて孤城の王となってしまいそうで。
シリウスとレギュラスの関係は確かなようで曖昧なものだった。
一緒にいて当たり前のはずなのに一緒にいられない。
すぐ近くにいるのに顔も見れないほど遠い。
空に輝くレグルスとシリウスの星のように。
いくつもの季節をおいかけておいかけられて。
おわらない鬼ごっこを続ける。
歩む時が重なることを願って。



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