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(リリナル+ドラコ)7巻後







「久しぶりね…リリー」
墓前でナルシッサは囁くように愛おしい少女の名を呼んだ。
「学生のとき以来ね、あなたと会うのは…。やっと長い戦いが終わったのよ…」
長き魔法戦争が終わった。
リリーの愛息子ハリーの手で、終わった。
「あなたの息子は勇敢だったわ…」
言葉を紡ぐごとにナルシッサの目から涙が零れ落ちた。
「ねえ、見て。私の息子よ…。あなたの言ったとおり、私とそっくりのブロンドの髪をしているのよ…」
ナルシッサは脇にいた愛息子ドラコを引き寄せた。
「母上…」
表情をめったに顔に出さない母親が泣いているところを見てドラコは驚かずにはいられなかった。
「あなたのこと、とても好きだった。生きているうちにもう一度会いたかったわ。そしてドラコとちゃんと会ってほしかった…」
叶う事のなかった願いがぽろぽろと零れ落ちる。
それは学生時代に語った夢でもあった。
‐いつか私たちの子供と一緒に4人で、会いたいわね…‐
「どんな、方だったのですか」
ドラコが母親に聞いた。
母親がこんなにも人を慕うところを今まで見たことがなかったからだ。
「リリー?…そうね、優しい女性だったわ。おちゃめで、危なっかしくて、泣き虫なの。でも、強かった」
ドラコは自分を恥じた。
母親がこんなにも慕う女性を酷く誤解し、蔑んだ事を。
いつだったか、ハリーに向かって言ったのだ。
穢れた血の女など死んでも当然だ、どうせまともな女じゃなかったのだろう、と。
「リリーは愛されるべき存在だった。誰からも。誰よりも優しくて…大好きだった…」
「母上…」
ドラコの切なげな声にナルシッサは泣きながら微笑んだ。
「ごめんなさい、もう少しだけここにいさせて頂戴…」
小さな願いにドラコは無言でうなずいた。
ドラコもまた、ここにいたかった。
謝り、そして今までのハリーの話をしようと、思った。



あきゅろす。
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