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(黒兄弟)シリウス死後







「久しぶりだな、レギュラス」
昔と変わらぬ姿で現れた弟に、シリウスは冷たく言った。
「そうですね、兄さん」
一方ずいぶんと姿の変わったシリウスを見て、レギュラスは微笑みながら言った。
「へらへら…笑ってんじゃねえ…!なんでお前が、先に待ってんだ!」
シリウスはほとんど泣きそうになりながら搾り出すように叫んだ。
その声を聞いたレギュラスは罪悪感で顔を背けた。
「ごめんなさい…でも僕は僕にできるやり方で、罪を償いたかったから…」
ここへくるまでに聞き、見てきた真実。
レギュラスがヴォルデモートの真実に近づいていたこと。
滅ぼそうとしたこと。
そして、どれほどシリウスを慕っていたか…。
「お前は馬鹿だ!いつだって、いつだって、そんな役回りで!」
本気で怒るシリウスにレギュラスはふと笑みをこぼした。
(ありがとう、兄さん。僕のために怒ってくれて)
「僕は後悔してないよ。あんな最後だったけれど幸せな人生だったと、思うよ」
シリウスは何度も心の中で思った。
そんな人生幸せであるものか。
もっと幸せになったって笑ったって手を汚さなくたってよかったんだ。
無垢なお前のままでいてよかったんだ、と。
「…っ!」
言い返そうとしても胸に言葉が詰まってでてこない。
「幸せだよ。こんなにも怒ってくれる兄さんがいるんだから」
追い討ちのようにレギュラスは述べた。
本当に、幸せだったのだ。
兄がいて、母がいて、クリーチャーがいて、従姉弟がいて、友がいて。
たくさんのものを大事にできたこと。
それがレギュラスにとってなにより幸せだったこと。
レギュラスの微笑みに堪らなくなりシリウスはレギュラスを抱きしめた。
「お前が死んだときの俺の気持ちがわかるのか…!」
「…ごめんね、兄さん」
ひとりで残してきて、ごめんね。
兄さんの手をとれなかった弱い僕で、ごめんね。
でも、
「ありがとう、兄さん。大好きだよ」



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