(ジェームズ視点→レギュ)学生時代
隠 さ れ た 想 い
2年生になり、ホグワーツに帰ってきた日の宴だった。
ジェームズは親友の笑顔の理由を問わずにいられなかった。
「ねえシリウス。さっきからずっとニヤニヤしてどうかしたわけ?」
するとシリウスが気持ち悪いほどににやけながら言った。
「弟が入学するんだ!」
「弟?弟ってえーと、レギュラスだっけ?」
名前を思い出しながら聞くと、シリウスはよりいっそう声を張り上げた。
「そうだ!ああ、あいつもグリフィンドールにならないかなあ!」
言い終えるのと同時にマクゴナガル先生が1年生を率いて大広間入ってきた。
「お、来たぞ!」
ジェームズはシリウスがこんなにも楽しみにしている弟をはやく見たくて半ば椅子から立ち上がっていた。
「どれだ?ん?あれか…?」
指差す先にはシリウスに良く似た顔立ちの少年がいた。
気難しそうな顔をしていた。
泣くのを堪えている顔をしているともとれた。
「ん?ああ、うん、あいつだよ!」
嬉々として答えるシリウスとわくわしながら組み分けの儀式を待った。
そして、マクゴナガル先生の声が響いた。
「ブラック・レギュラス!…スリザリン!」
親友の顔から笑みが消えた瞬間をジェームズは忘れる事ができなかった。
「なんですか?」
突然呼び止められたレギュラスは怪訝な顔をした。
「そんな顔するなよ。…ふうん、君がねえ。似てるね」
ジェームズがあまりにもまじまじと見るのでレギュラスは顔を背けた。
そしてとげとげしい声を出した。
「兄の、知り合いですか。」
「うん?そうだよ」
言葉のとげとげしさには気付かなかったふりをした。
ジェームズの言葉を聞いてレギュラスはぱっと顔を上げた。
そして、言い放った。
「あんな兄と比べないでいただけますか?グリフィンドールになんか入った血を裏切る兄なんかと…!」
ジェームズは顔をしかめて言い返そうとしたが、やめた。
レギュラスの顔を見てできなくなったのだ。
そして決してそんな事は思っていないのだということを悟った。
きっと否定し続けなければこの場所に立っていられないのだろう、と。
「では、失礼します…!」
泣きそうに顔をゆがめたレギュラスは足早に立ち去っていった。
ジェームズはこのときのレギュラスの顔を生涯忘れる事はなかった。
兄は弟を、弟は兄を。
相思相愛でありながらももう二度と笑い会うことはできないのだと思うと胸が詰まった。
シリウスを誰よりも慕いながらもシリウスを否定し続けなければならないレギュラス。
彼は強い、とジェームズは思った。
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