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月へ唄う運命の唄
教えてリオン先生4

「あぁ…うん。アレね…」

言っても信じてくれるかな…?でも、元の世界だと有り得なかった晶術とか、モンスターとかアリなんだし…案外大丈夫?…でも…

少しだけ迷う。なんせ自分だけが見えているものである以上、同じ性質の人間でもない限りは観測出来ない為証明出来ないものなのだ。良くて妄想癖、酷ければ重度の精神障害者のような扱いを受ける。
少々の葛藤を経て、口を開く。

「…リオンは幽霊って、信じる?」

「…幽霊?」

「うん。幽霊。…オバケ、霊魂…そういうものの存在」

怪訝な顔をしているリオン。

「ボクには、そういうものが見える。見る事が出来る眼がある。あの場には、犠牲になった沢山の人達の魂が、繰り返されている悲劇に浮かばれず残っていた。…だから、ここだってわかったんだ」

「…そうか」

一言だけ返ってくる。その表情には困惑こそあるものの、不思議と疑いはなくどこか納得している様子ですらあった。
意外とあっさりした反応に少し戸惑いつつ、二つ目の疑問に答えてやることにする。

「それで…リオンがみた光、だけど。それは多分身体強化のオマケみたいなものかも」

…人の体は電気信号のやり取りで動く。故にその微弱な生体電気を強化してやれば常人より優れた動きが可能になる。
リオンが見た青白い火花のようなものは、強化した生体電気が外に漏れたものだったのだ。

「…で、ボクのやってる強化の方式は、例えば鎧いっぱい着て、『いつでもどこからでも常にバッチリ!』みたいなものじゃなくて。必要な時に必要なだけ強化していくような…例えがアレだけど。爆弾みたいな一瞬の爆発力の利用なんだよね。だからバチって出てたのかも。あの時はなんか集中し過ぎてたせいか漏れてたみたいだけど」

「成る程な。つまり、ただでさえ負担をかける強化があの時は過剰に成されていたわけか。…少々コントロールも甘いようだな」

う゛…痛いとこ突かれたっ。
もしかしてコレ朝の鍛練がすごーく過酷になるとか嫌な予感が止まらないんですが…?

「明日からが楽しみだな」

『クノン、頑張ってくださいね』

「あああっ!罠だ!詐欺だ!」

頭を抱えて蹲るクノンに、リオンの少しだけ意地悪な笑みが降りかかる。

「…さて、話はこれだけか?そろそろ時間も遅い、僕はもう眠る。お前も部屋に戻って休め」

そう言って布団に潜りはじめるリオンに、言いかけた言葉も引っ込んでしまう。

まぁ、モンスターの件はまた今度でもいいかな…?それよりも明日からが…うわぁ、頼んどいて何だけど、ちょっとだけ後悔してきたよ。

げんなりと肩を落としながらも椅子から腰を上げ、自分の部屋へ戻る事にする。

…でも今日は、いつもより沢山お話出来たし、良かったかな…。

そう思いつつ扉に手をかけ、

「…おやすみ、リオン」

パタンと、静かに閉じた。


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あきゅろす。
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