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刑事からの、忠告

SIDE 戒斗



――ピピピピピピピッ、ピピピピピッ。

早朝、まだ朝日が見えていない時間。戒斗の事務所に細かな音が鳴り響く。
その音で目覚めた戒斗は、誰が見ても不機嫌だと分かる表情で目覚し時計に手を掛ける。

――ピピピピピピピッ。

目覚ましを止めた筈なのに音は一向に鳴り止む気配を見せない。

(何故……)

眠気が全く覚めないまま頭の中でじっくりと考えるが、考えてもしかないと思い立ちあがる。
音がするのは、下の階。この音を発するものは、この家では限られている。

「電話……か」

どうやら事務所に有る水晶の電話機能が働いているらしい。
因みに現在、時刻は午前三時、まだ真夜中と呼べる時間帯である。

「依頼か? 出来ればもう少しまともな時間帯に、かけて欲しいが……」

戦闘様に変化させた体質はすでに目覚めきっているため、二度寝は出来そうにない。
そしてまだ依頼と決まったわけではなかった。

「ディライアの戒斗だ」

水晶に触れると、接続はされたが映像拒否がされているため、何も見えない。
それどころか、相手側から何の音も聞こえない。ただの悪戯電話かと思った。

「用がないのなら切るぞ」

戒斗がそう言った直後、まるでそれを待っていたかのよう相手が話しだす。

『パーティには行くな』

受話器から聞こえてきた声は低い男の声。

「どういうことだ?」

戒斗は一瞬何を言われたのか解らなかった。その言葉に答えるように再度、男が言った。

『後日、行われる貴族のパーティには行くなと言っている』

今度は聞き逃さなかったが、男の勝手な言い分に戒斗は内心怒りを感じた。男の言葉はまだ終わっていなかった。

『六時間後の午前九時、そちらに行く……』

その後、男は一方的に電話を切った。
戒斗は水晶の画面を切ると額に手を当て先程の事をまとめようとした。

(新手のいたずらか……俺は自分の仕事を全うするだけだ)

そう結論づけコーヒーを淹れる為、湯を沸かしにキッチンへと向かう。



いつもよりも少し遅い朝食を済ませ、戒斗は事務所の方で片づけをしていた。
書類を終うためファイルを手に持つと、ボロボロの紙切れが隙間から落ちてきた。

戒斗は紙切れを拾い上げ何が書いてあるのか見ようと思ったが、手紙のような文はインクが滲んでほとんど読めない状態だった。

(時……セ……イ……。……リン……イル……神。これじゃ、分からないな……)

いつ紛れ込んだか分からないが、自分のものではない手紙を戒斗はゴミ箱へと捨てた。
読めない手紙など、誰も取りにくることは無いと思ったのだ。



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あきゅろす。
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