SIDE 戒斗 その日の昼、ヨーロッパ。 仕事から帰ってきた戒斗がシャワーを浴び、髪を乾かしながら水晶の前に立つ。届いたメールは三通、一つはチェーンメールだった為すぐに消した。 次のメールを開くカインからの断りのメールだった。 始めからあまりあてにはしてなかったため気落ちすることなく次のメールを開く。 次に出たのはパスワード入力画面。 (随分と久しぶりだな。連合からか、これからニルヴァーナの事で急がしいってのに) だが、優先すべるべきなのはディスオーガナイズとしての仕事だ。断れば両親の面子にも関わってくるのだ。 戒斗は馴れた様子でパスワードを打ちこみメールの中を読む。 その内容を読んで戒斗は眉間に皺を寄せる。 (ニルヴァーナの頭領と副頭領の武器を奪えだと? よりにもよってあいつから……) 二人の武器にある宝石には神が宿っている可能性があり、連合はそれを悪用されないようにしなくてはならないこと。その為にその武器を奪うか二人を捕獲しなければならないことが書かれていた。 「最悪だな。まぁ、探す手間が省けたのはありがたいけどな」 昼食は外で食べてきた為、午後からはゆっくりと休みを満喫していた。 愛刀の手入れをしながら考え込む。ダンバッハの方へ行くべきか、決闘の方へ行くか。 (それにしても、シオンはどうしてニルヴァーナと別行動をとってまで決闘なんて考えたんだ? 俺が仕事を取るのは分ってるだろうに) そう、良く考えて見ればおかしい所がいくつかある。 シオンがニルヴァーナと別行動を取ること、義賊なのにもかかわらず堂々と戒斗へメールを送ってくる事、そもそもあのメールがシオンの出した物かすら怪しい。 刀を鞘に戻し、戒斗はメールを見なおした。だが、やはり、誰からのメールか検討がつかなかった。誰かに決闘を申し込まれる覚えもない。 イタズラメールか何かと思い、戒斗は気にする事をやめた。 (今、考えるべき事はどうやってあの二人の武器を奪うかだな……) 二日後、良い考えが思い付かないまま、戒斗はダンバッハ家へと向かった。 ACT.07 あれもこれも、仕事 END |