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Remedy
「少し、嫌な予感がする…」

あの後、鬼の形相をしたジャーファルに問い詰められ、事情を説明した琥珀は、濡れた体を温めるべく湯浴みをし、そのまま自室へ帰ることにした。

実のところ、それほど怒っていた訳ではなかったのだが……。
ここのところ文官と武官、二足わらじを履き分けるような生活をしていたため、疲れていたのだろう。
気持ちが切れてしまい、つい、二人に対して八つ当たりのような態度をとってしまった。

あの場を去るときに見えた二人の表情を思い出し、悪いことをしたかもしれないと琥珀は若干の後悔をしていた。
……もちろん、あの二人の落ち度ではあるのだが。

なんとなく重い身体を引きずり、緑射塔にある自室に辿り着くと、部屋の前にはスパルトスが立っていた。


「先ほどの書類だ」

「あぁ。わざわざありがとう。……あの後、どうなったんだ?」

「二人なら、あの場の後始末をやらされている」

「……そっか」

「大丈夫か? 疲れているように見える」


顔色も悪いと心配そうに声をかけられた。確かに少し体がだるい気がするし、なんとなく肌寒い。


「疲れが溜まっているのかもしれない。明日のこともあるし、もう寝ることにするよ」

「あぁ。その方がいいだろう。シャルルカンには、そう言っておく」


そう言って彼は去っていった。
それを見送った琥珀は、自室に入り、早速書類を手にとると、再び明日の航路と対応についての文書を頭に入れることにした。


(海賊か……何事もなく終わればいいんだけど)
(少し、嫌な予感がする)




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