今宵首@
忘れもしない、あの銀髪
今宵、あなたの首を頂きます
江戸の町をふらふらと歩き回って、もう3日くらいたつかもしれない
なんにも食べてないし、ほとんど寝てない
おまけに季節は冬
なのにあたしの格好は着物一枚
「寒ー…」
呟くだけ無駄だけれど、呟かずにはいられない
なのに、すれちがう人達は暖かそうなコートとか着ちゃって
ボロ雑巾みたいなあたしなんかまるで見えないかのように足早に歩いて行くの
「寒い、お腹空いた」
もう一回、今度は声に出してみる
でも、やっぱり何も変わらなくて
いや、変わったのはあたしで
なんだか足の方から力が抜けて、ふらふらしてきて
目の前真っ白だか真っ黒だか分かんなくて
そのまま気付いたら地面にへたりこんでたんだけど起き上がるなんて到底無理
あぁ、あたし、死ぬのか
そう淡白に思った
後悔なんて何も無い
ココロ、なんてとっくに捨てたんだから
ただ、1つだけ悔やむべきなのは
もう一回あの銀髪の男に会いたかった
会ってー…会って何がしたいのか分からないけど
とりあえず、会って
とりあえず、殺したかった
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