妄想だもの
団地妻13救出=y完結】
見下ろしているゾロの頬にポツリと涙が落ちた。
ゾロを責める理由はない。自分はこれから先も、ずっとエースを愛して行くんだから。
愛しているんだから。
パタパタと涙を落としながら起き上がる。
ソファーから降りようとしたらゾロに引き戻された。
「なんだよ・・・。」
もう、心を掻き乱さないで欲しい。
「おれがおまえにやるよ。」
「え?」
「おれの愛を注いでやる。その愛をエースに注げ。」
反転した身体をソファーに押し付けられ、身が竦むほどに抱きしめられた。
「てめぇの器には零れるほど、おれの愛を入れてやる。だから安心しろ。」
「で、でも・・・。」
封じるように唇を塞がれ、口内を長い舌で味わうように舐めつくされる。
口答えは唾液と共に、喉の奥へと流れ落ちた。
ゾロの愛をもらっても、返せる愛がないとサンジは頑なに思っている。
それならば。
「愛を返そうなんて思わなくてイイ。おまえからの愛はいらねぇ。」
ピクンと眉を跳ね上げて、瞬く間にうずが下がる。
どんどん悲しげな表情になるサンジを、強く胸に収めて告げた。
「おれぁ、てめぇのその顔を見ただけで器が満たされるんだ。だからいらねぇ。」
いなくなった男を愛したいなら愛すればいい。
おれの愛を受けて満たされればいい。
離れていくのを悲しむサンジの姿を見た時に、ゾロははっきりと感じ、確信した。
己の器に注がれる愛を。
「愛に飢えてただろ?」
「・・・飢えて・・・・た。」
「おれの愛が欲しかっただろ?」
「欲しかったよ。いつも・・・。」
「いつでもやるよ。溢れて海になっちまうほどな。」
「くくっ・・・。溺れちまうよ?」
「溺れとけ。おれが救い上げてやるさ。」
「ま、おれは泳ぎは得意だけどな。」
「どっちだよ。」
「さぁ?」
サンジの青い海にはゾロが映り、愛が溢れて終わりはない。
【団地妻:未亡人編】完
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