妄想だもの
団地妻10大丈夫
どれだけ泣いていたのか。
部屋の中も薄暗く、夕方を過ぎている。
鼻の奥がもつんとして、頭が痛い。
明らかに目が腫れているだろう感覚を指に感じた。
もう泣き尽くしただろうと思うほど涙が出たのに、また。
ジワリと涙が溢れてくる。
「ゾロ・・・。」
小さく呟いて、もそりと起き上がり顏を上げた先に影が見えた。
「なんだ?」
出て行ったはずの男の聞きなれた低い声が、サンジの胸に響く。
サンジが座っていたキッチンの椅子から、影が動いて近づいてくる。
涙で濡れた頬を大きく熱い手で包む。
だけど、暗くて顔が見えない。
呆然と見上げるサンジに、影が告げる。
「そんだけでいい。それで十分だ。」
影が近づき、唇が重なった。
ああ、ゾロだ。
サンジはそっと目を閉じた。
★
まりもマンってば、出て行ったフリかよ。
泣きやむまで見てたんですか?!
素直じゃないサンちゃんにお仕置きした?
セールスマンも、ちょいイジワル。
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