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妄想だもの
団地妻10大丈夫


どれだけ泣いていたのか。

部屋の中も薄暗く、夕方を過ぎている。

鼻の奥がもつんとして、頭が痛い。

明らかに目が腫れているだろう感覚を指に感じた。

もう泣き尽くしただろうと思うほど涙が出たのに、また。

ジワリと涙が溢れてくる。


「ゾロ・・・。」

小さく呟いて、もそりと起き上がり顏を上げた先に影が見えた。

「なんだ?」

出て行ったはずの男の聞きなれた低い声が、サンジの胸に響く。

サンジが座っていたキッチンの椅子から、影が動いて近づいてくる。

涙で濡れた頬を大きく熱い手で包む。

だけど、暗くて顔が見えない。

呆然と見上げるサンジに、影が告げる。

「そんだけでいい。それで十分だ。」

影が近づき、唇が重なった。



ああ、ゾロだ。


サンジはそっと目を閉じた。








まりもマンってば、出て行ったフリかよ。

泣きやむまで見てたんですか?!

素直じゃないサンちゃんにお仕置きした?

セールスマンも、ちょいイジワル。

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