魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第4話……9
「おー、そこにおるんはすずかにアリサやないの。ひっさしぶりやー!」
肩を落とし途方にくれていた2人に聞き覚えのある声。
背後から投げられた妙にトーンの高い関西弁。
振り返るとそこにあったのは緑の瞳、そして金髪長身の美女が軽く片手を上げた姿。
「ハルさん!」「ハル!」
ほとんどハモるようなその声に“ハル”と呼ばれた女性は口角を吊り上げ八重歯を見せ、
「そぉや。ハルさんこと“ナインハルト・E【エクシステンツ】・新庄”、お嬢ともども海鳴に凱旋やでー!」
笑みを浮かべた言葉が来た。
『うわー、相変わらずその関西弁が胡散臭いですね』
「あっれ!? えらいハルさん疎外感気味なんやけど!?」
それを見た2人のツッコミに対し、過剰なまでのリアクション。
「まぁ、それはさて置き。どないしたん2人とも? まるで久々に帰ってきた友達に挨拶したいけど他の人間が邪魔で屠りたい、みたいな顔しとるで?」
「概ね正解」
「最後の過激な部分は要りませんけど」
笑みのままで言うすずかに背を向けハルは指で眉間をしばらく揉んでいたが、
「じゃあ、こうしようやないの」
何か思いついたのか、人差し指を立てくるりと振り向き、
「2人が来てることはうちがカナタに後で伝えるから、帰りにちぃと時間空けてくれん?」
積もる話もあるやろし、とハルは2人の背中を軽く押し先に進むように促す。
確かに、そろそろ教室に向かわなければ稽古の時間に間に合わないのも事実。
「じゃあ、よろしくお願いしますハルさん」
「頼んだわハル」
「はいはい、まかしときぃや」
名残惜しそうに去る2人をひらひらと手を振り見送るハル。
だが最後の一瞬、笑みを称えた表情が緊へと変わったことにすずかは気付くことはなかった。
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