魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第4話……7
「あの後、なのはちゃんとアリサちゃんが大喧嘩になっちゃったんだよね」
今から見ればまだまだ子供らしさの残る喧嘩ではあったが、あの時の2人の争いのきっかけの一部は自分。
自分のせいで他人が争うのを見るのなんて耐えられなかった。
だから──。
「でもそれを止めたのが、事の発端のひどくおとなしい子」
ちょうどそのシーンを思い浮かべていたところにかかったアリサの声。
あの頃の自分の行為と見透かされたような言葉に、思わず気恥ずかしさを覚えてしまう。
「……あの時は。だって必死だったんだよ」
ふ、とアリサの口元が緩む。
外を見る瞳は既に遠く、穏やかに、ただ穏やかに微笑んでいた。
「それから少しずつ、話をするようになっていったんだっけね」
「そう、三人で」
ああ、もうきっと大丈夫だ。
いつもの表情に戻った親友にすずかもそっと息を吐く。
後は、
「で。すずかはそんな昔話をきっかけにあたしに一体どうさせたいわけ?」
「分かってるくせに」
そんなアリサ自身の心、語られず語れなかった彼女の気持ち。
「あたし達に心配させたくないだけだってことくらい、分かってるわよ」
それをただ、聞いてあげるだけで彼女は自ら立ち上がれる。
「多分あたしたちじゃあの子の助けにならないってことも。待っててあげるしか出来ないなら」
今の彼女は昔とは違う。
だってなのはから、本当の強さと優しさを教えてもらったんだから。
「じゃあ、あたしはずっと怒りながら待ってる! 気持ちを分け合えない寂しさと親友の力になれない自分に!」
真摯な瞳がこちらを射抜く。
そこには最早迷いは無く、在るのは親友を信じる親友の姿。
「……いじっぱり」
「ふん、だ」
息を吸う音が聞こえ、笑みの感情すら交じった言葉。
紅くなった空が彼女の横顔を照らせば。
それはとても眩しく綺麗で暖かい、
微笑みだった。
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