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魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第1話……5
夕食の後。
テーブルに座ったまま、正面に向かい合った2人───すずかと忍は談笑を交わしながら夜の時間を過ごしていた。

「それで。あのひよこはどうするつもりなの?」

不意に問い掛けてきた忍に、すずかは少し迷って───真っ直ぐ姉を見つめて言葉を返す。

「私が───飼おうと思うの」

忍はこの答を予想していたのだろう。
矢継ぎ早に言葉を繋げる。

「でも、うちじゃ沢山の猫を飼ってるのよ。あんな小さなひよこくらいだったら食べられる可能性だってあるわ」

『そこは、あのひよこはただのひよこじゃないから』とでも言ってしまえば楽なのだろうが、さすがに躊躇われた。

というか、すずかはあの時の話は一切せず、ただ庭に倒れていたのを見つけたとしか説明していなかった。

どういう状況かは解らないが、完全な異常事態である事は確かだ。
ならあのひよこの少年の指示を仰ぐまで迂闊な事は喋らない方がいい。
すずかはそう判断していた。

「お願い、お姉ちゃん。そこは私がきちんと責任を持ってお世話をするから。───だから」

ふぅ、と忍の溜め息が聞こえた。
そして、

「わかったわ。すずかのしたいようになさい」

温かい声で俯いていたすずかの髪を白い指が優しく透いた。

「ありがとう!お姉ちゃん!」

上げたすずかの顔には満面の笑み。
それを見届けて忍は席を立つ。

「たまには───一緒にお風呂入ろうか、すずか?」

「うんっ♪」

仲の良い姉妹は、二人寄り添い優しく笑い合いながら食堂を後にした。





一方その頃。
月村邸の雑木林内。

地面に転がる紅い結晶体がほのかな光を明滅させ、静かに獲物を待ち続けていた。

明滅する光は何かを誘うように輝き続ける。
やがて1匹の昆虫がそれに引き寄せられるように現れ、その結晶に触れる。

一際、輝きが強くなり風の無い闇の中、静かに無機質な声だけが響いた。

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