魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第4話……5
●
時間は既に夕刻。
帰り支度も済ませ、無言で足早に教室を去ろうとするアリサを引き止めながら、
「じゃあなのはちゃん。ごめんね、今日は私達お稽古の日だから」
教室の後ろの扉からもうひとりの友人に声を掛けた。
「夜遅くまでなんだよね? いってらっしゃい、がんばってね」
振り向きこちらに檄を送るなのはに対し、アリサは一瞥すらせずに階段へと歩みだす。
「……アリサちゃん」
黙して語らず遠くなる背中は、燻り続ける小さな怒りと疼く寂しさを背負ったままで。
全く動いてないであろう表情と違い、それはひどく感情的で。
「あ──。大丈夫だからね、なのはちゃん?」
その背中に掛ける言葉が浮かばないのを誤魔化すように、不安を消しきれない表情でこちらを見たなのはに精一杯のフォローを送る。
「あ、うん。……ありがとうすずかちゃん」
なのはを一人にするのも少し不安な気もしたが、今は先ずアリサの気持ちを落ち着かせるのが先だ。
背後からのなのはの視線を振り切り、すずかはアリサの背を追う。
きっとまた、皆で笑いあうために。
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