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魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第4話……2

第4話
親友に捧ぐ旋律、共に唄う歌
です


 4月26日


「……ッ! いい加減にしなさいよ!!」

「──あ」

 何かを叩きつけたような大きな音と張り上げた声。
 それに気付いた教室中の皆の視線がその音源へと集中する。

 そこにあるのはすずかとなのは、それと机に両手をついたアリサの姿。 
 椅子に座ったまま呆然とアリサを見上げるなのはに、下ろした手を腰に当て、

「こないだっからなに話しても上の空でぼーっとして!」

 苛立ったようにささくれ立った言葉が投げかけられる。

「ご、ごめんねアリサちゃん」

 項垂れ、視線を机へと向けながらも謝罪の言葉を口にするなのは。
 だが、それすらも今の苛立ちを増長させるだけだった。

「ごめん、じゃない!! あたし達と話してるのがそんなに退屈なら、ひとりでいくらでもぼーっとしてなさいよ!!」

 それだけを吐き捨て、なのはに背を向けるアリサ。

「行くよ、すずか!」

「──あ、アリサちゃん」

 その背中を追うべきか、視線を迷わせていたすずかだったが、

「なのはちゃん」

 一先ずなのはに声を掛けた。 

「……いいよ、すずかちゃん。今のはなのはが悪かったから」

 小さく身動ぎ、顔を上げ困ったような笑顔が向けられる。
 彼女はいつも通り笑っているつもりなのだろうが──。 

「そんな事ないと思うけど」

 無理をしているのがよくわかる。
 “辛い”とか“苦しい”なんて気持ちは一切見せないなのはだが、代わりにとても笑顔とはいえない表情が現れることが多くなる。

 今、無理に一緒にいたところでなのははなにも語らない。語れない。

 それなら自分の出来ることはアリサを少しでも宥める事だけだ。

「とりあえずアリサちゃんも言い過ぎだよ。少し、話してくるね」

「うん、……ごめんね」

 顔を見ないように背を向け駆け出す。
 教室を出る直前、彼女から聞こえたのは、

「怒らせちゃったな。──ごめんね、アリサちゃん」

 あくまでも、アリサを気遣ったそんな言葉だった。

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あきゅろす。
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