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魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第3話……5

「く、──は」

 視界が歪む。
 意識は靄が掛かったかのように霞み、思考すらも億劫。

「つ──あああぁぁあああっ!!」

 しかしそんな身体と心を鼓舞するべく、大地を大きく踏み鳴らし雄叫びを響かせ弱気を促す要素を吹き飛ばす。

 普段の彼女しか知らない人間から見れば異様とも言える光景。
 だが、ノエルはそれを見て満足そうに微笑み、

 ──とん。

 再び鋭い視線と半身を向け、構えを取り直す。

 時計に目をやれば残り時間は1分弱。
 すずかのコンディションを考えればもって数合、悪くて一撃。

 以前までの彼女ならば全霊を込めた一撃で起死回生を狙ってくるところだが、実戦を経ているであろう今では、それが致命的な間違いであることに気付いている。

 それでも──そうせざるおえない。何故なら他に手段がないからだ。

(どうやったら隙を突ける? いや、それ以前にノエルの隙をどう作る!?)

 すずかは思考をフル回転させ、ノエルの隙を狙うための策を練る。

 だがどうやったところで隙どころか、気を逸らすことさえ出来そうもない。

 過ぎていく残り時間に焦りながらも、すずかは視線を周囲に向け模索し続ける。(いつもと違うこと、違うもの、違う場所……! なにか、なにかひとつあれば……!!)

 そして──“それ”を見つけた。
 あまりにもくだらなく、確実性にも欠ける“それ”。

(それでも、可能性は生まれるなら)

 す、ぅ。

 ひとつ大きく息を吸い込み、眼前の大きな壁──ノエルに真っ向から向かい合う。

 すずかは少ない残り時間とこの勝負を“それ”に賭ける覚悟を決めた。

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あきゅろす。
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