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魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第3話……4

『うぉ! 今の大丈夫か!?』

《防御の上からの攻撃でしたからダメージは軽減されている──筈です》

 先程の険悪な雰囲気はどこへやら、手に汗握る目の前の戦闘に二人は完全な観戦者と化していた。

『しかし……この戦い、アレだな』

《ええ。“稽古”なんて範疇は完全に超えてますね。何よりあの大きい方のメイド──》

 目が無いので視線が向いているのかわからないが、クアドラはノエルを見て呆れたように言葉を零す。

《本当に人間でしょうね?人間という種のスペックを遥かに凌駕した動きですが》

 魔力による身体強化ならそれも有り得ただろうが、

『……正直自信無いぞ。魔力による強化は見られないんで純粋な体術と身体能力なんだろうが』

 これにはディーも素直に賛同する。

 すずかの動きも9歳とは思えない程だが、ノエルのそれは桁が違い過ぎた。
 無動作【ノーモーション】から繰り出される攻撃は発生の瞬間には音速を越えているだろうし、危機察知、反射神経も一流の近接魔導師に比べてもなんら遜色も無いだろう。

『もしかしてAクラスの砲撃魔法とかでも、拳圧だけで相殺できるんじゃね?』

 笑いながらディーはその光景をイメージする。


 局員達が一斉に放つ砲撃魔法。迫り来る閃光。
 しかしそのこと如くを拳で吹き散らすメイド。

 
 笑みの端が途端に引きつった。
 そしてぶるり、と小さくみじろぎ、頭を振って嫌な想像を振り払う。

《さすがはマスター。まだ戦りますか》

 クアドラの呟きに目の前の展開が変わっていることに気付いたディーは、再びその闘いを固唾を飲んで見つめ直した。

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