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魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第2話……5
大きく肩で息をしていた2人は、なんだかわからなくなった現況を収めるべく深く呼吸をしてゆっくりと互いに向き合った。

「……よし。落ち着いた」

「……私も、大丈夫です」

言葉と同時に笑顔。
ディーは「こほん」と軽く咳ばらいをして、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

「まずは……しっかりした自己紹介、かな。名前は昨日教えたよな。オレの名前はディー───“ディー・アトランダム”」

胸に手を当て、誇らしげに言葉を続ける。

「時空管理局古代遺失物管理部機動二課スラッシュ分隊隊員で、階級は一応空曹だ」

「なりたてだけどな」の頬を掻くひよこに、すずかは怖ず怖ずとだが、率直に疑問をぶつけた。

「あの、話の途中で申し訳ないんですが───時空管理局って何ですか?」

ディーの目が点になる。
しばらくして首を捻って、

「時空管理局は時空管理局だけど……。君、魔導師だろ?何で知らないのさ」

ふるふると首を振り、きっぱりと否定を伝え、

「そもそも魔導師っていうのも何ですか?」

更に追撃。
ディーはまた首を傾げた。
何か根本的な勘違いをしている、そんな雰囲気だ。

首が体ごと一回転して、また正面に戻って来ると同時。
ディーはぽふと手をついて緩い笑顔。

「もしかしてただの一般人だったりして〜。みたいな───」

「はい。ただの小学生です」

びっし!!

笑顔が凍る。
数秒間の停止の後、ギギギと錆び付いた音を上げ、ディーはすずかをもう一度見つめる。

「魔導師───じゃない?」

「はい」

「なんか魔法が使える組織とかには?」

「いいえ」

「ただの───一般人?」

「はい♪」

「なんじゃああああああそりゃあああああああっ!?」

血管が切れそうな程の大絶叫。
思わず耳を塞いだすずかの目の前でひよこがグラリと倒れ込む。

「は───はは。覚悟決めて協力要請したら……一般人?ふ……ふふ…ふふふふふふ」

壊れた笑い声だけが虚しく部屋に響く。
やがて伏せた身体の下からとめどなく溢れ出す涙。

《やれやれ。うっかりもここまで来れば古代遺物級ですね》

終いには机の上のデバイスにまでツッコまれる始末。

いたたまれない。
もう、見ているだけで色々痛い。

さすがに声をかけようとすると、いきなりその身体が跳ね起きた。

「ちょっと待て。じゃあ“最初”はどうやったんだ?」

「さ、最初?」

心当たりがなくうろたえるすずか。
だが、ディーは尚も詰め寄る。

「初めて君と出逢った時だ!巨大かたつむりと戦ってた時!」

「……え?あの時はただ茂みに───」

「その時!どうやって“魔力”を“隠蔽”してたかって聞いてるんだよ!!」

ディーの疑問はそこだった。

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