魔法少女リリカルなのは
AQUARIUS
第2話……4
すずかは戸惑っていた。
何もかもがいきなりだったから。
元気がなかったディー。
友達とのささやかな時間。
そして───手伝いを申し出ようと思った矢先のコレ。
いろいろ順番が違ってしまい、今のすずかにはどう返せばいいかわからない。
「ちょ、ちょっと待ってくださいディーさん!」
「頼む!オレに出来る範囲なら礼でもなんでもする!だから───!!」
頭上にいるまま、頭をずりずりと擦りつけるディー。
なんか、もふもふしてこそばゆい。
「頼む!このとおりだぁぁぁぁああああっ!!」
尚も、もふもふの塊がずりずりずりずりと。
そんな必死の頼み方に、逆にすずかがキレた。
「だから、落ち着いて───下さいって、ば!!」
ぎゅむ。
「っうぐぅ!!?」
思わず頭上のソレを両手でおもいきり握り締めてしまった。
くてんと力無く気を失うひよこ。
そこまでやってからようやく、すずかは今の惨状に気が付いた。
「デデデデディーさぁぁぁん!?ノエルー!!?ファリーン!!?誰かー!!?」
あの後。
ノエルの奇跡的介抱により意識を取り戻したディーは、さすがに落ち着いたのか、それとも先の二の舞になる事を避けたかったのか、静かにすずかと向かい合っていた。
沈黙の中、先に口を開けたのはディーだった。
「え、と。ひとまずはありがとうと迷惑かけてごめんなさいを」
先刻のが余程効いたのか、口調もやや大人しめだ。
「いえいえいえごめんなさいはこちらのほうこそであのその」
対するすずかも口調がおかしい。
1人と1匹はまた沈黙。
そして、
『あの』
同時に口を開く。
「あのあのあの、君の方からどうぞっ」
「いやいやいやディーさんこそどうぞっ」
………どこの見合いの席なのだろうか。
互いに互いを優先しあい、話が一向に進む気配がない。
《どこまでも───似た者同士ですね。マスターも、前マスターも》
机の上に安置されているデバイス───クアドラが2人に聞こえないようにポソリと呟いた。
ちなみに、こんな状況が小一時間ほど続いた。
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