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漲れフードファイターズ
「政宗ぇ〜、今日の晩飯どうしよっか」
「Ah?そうだな…ボーナス出たし外食でもするか」
「お!やった久々!」
「そういやチビらと外食したことまだなかったもんな」
「かーちゃなにがやった?」
「ちおねぇ〜、とーましゅらよ〜」


俺達の会話に興味を示す梵と、お気に入りの機関車の玩具を走らせる千翁。…お前はいつだって空気を読んだことがないよな。





漲れフードファイターズ





「今日は外に飯食いに行くぞ」
「おしょと??!!」
「とーましゅもおでかけしるー」
「トーマスはお留守番してるってよ、お片づけしな」
「…‥ぶぅ」
「千翁も一緒にお留守番するならトーマス持ってていいけど?」
「やぁー!ちおもいくーぅー!!」
「じゃあお片づけしな」

単細胞な脳ミソだと扱いやすい。梵はたまに生意気言ったりするから。
半ベソかきながら急いで片づけてる千翁を横目で見ながら、俺も出掛ける準備をする。


「外食って言ってはみたが…‥どこにするよ?」
「あー…‥梵と千翁はなにが食いたい?」
「ぐあたん!」
「にく!」
「…………‥とりあえず、ファミレスでいっか」
「だな」

千翁に至っては料理名ですらないし。肉とは言ってるが、これが肉だぜって魚出しても多分喜んで食うんじゃねぇかな。

「なんだっけ、こないだ新しくできたとこあんじゃん、そこ行こうぜ」
「あぁ、なんか結構広いとこだろ」
「時間が時間だし人多いかな」
「まぁ、入れなかったら別ンとこ行きゃいいし」


駐車場が広いお陰で車はギリギリ駐車できたが、中は結構混んでいるようだ。学生らしき集団もいるから待ち時間長いかも。

「すみませんお客様、只今大変混んでおりまして…禁煙席で相席でもよろしければご用意できるんですが」
「別に相席でもいいよな?」
「俺は別に。向こうさんが良ければ」
「…相席お願いできますか?」
「はい!かしこまりました、こちらへどうぞ!」
「とーちゃー、ぐあたんあるー?」
「あると思うぞ」
「にくはー?」
「それはまず間違いなくあるだろうな」

席が近づくにつれて賑やかな子供の声が聞こえてくる。
この元気が良すぎるまでの声には聞き覚えがあったが、まさか、相席って。



「あ!ゆちちゃん!」
「ぼんどのちおどの!」


…………やっぱり!!!!


「おぉ!また会ったのぅ!」
「こんばんは、こんなとこでもお会いするなんてホント奇遇っスね」
「チカ、知り合いか?」
「ほら、よく話してるだろ。幸村君と武田さんだよ」
「あ〜!どうも、梵と千翁がいつもお世話になってます」
「いやのぅ!幸村も友達ができて喜んでおるわ!」
「しょれがちゆきむらともーちましゅる!ぼんどのちおどののぱぱうえはかっちょいーでごじゃりましゅな!」
「うん?パパうえ?」
「時代劇が好きなんだってさ、俺もママうえだから」
「ゆちちゃなにたべてゅのー?」
「はんばーぐでごじゃる!」
「ぼんねぇーぐあたんたべゅー」
「ちおぷぃん!」
「プリンは最後!ご飯先に食べなさい」

「…おい、ここ大食いメニューあるんだな」
「へぇ、ファミレスなのに?」
「15分で完食したら今日の会計タダらしいぜ」
「おま、それやるしかねぇだろ!」
「がっはっは!ここの飯は半端ではないぞ、ワシも以前に食らったが無理じゃったわい」
「や、多分余裕っスこいつなら」

なにせ負け知らず。仕事クビになっても賞金稼ぎながら食い繋いでいけると思う。


「じゃ、いっちょやってみるか」

メニューを聞きにきた店員が薄ら笑い浮かべてたが、後で泣くことになっても知らねぇぜ。





「お待たせしましたぁ〜、本日の大食いメニュー、特大チーズハンバーグになりまぁす」

俺達の料理が運ばれてきて最後に政宗の挑戦する大食いメニューとやらが登場した。…‥なんか、なにこれ。よく焼けたよこんなデカいハンバーグ。本日のってことは毎回違うメニューなんだろうか。

「でかいのー…。ワシの時はラーメンが出てきたぞ」
「あー、ラーメンはツラいっスよね、麺は伸びるし汁も飲まなきゃだし」
「いや…ソレも結構キツいんじゃね?チーズがグツグツいってんだけど」
「しかしデカいな」
「ぼんもそっちがいー!」
「ちおもちぃじゅ!」
「お前らはそっち食べな。父ちゃんがアレ全部食えたらプリンでもケーキでも好きなモン食わしてやるから」
「ほんと?!」
「けーち?!」
「幸村君も、好きなの頼んでいいからな?こっちの会計にしてやるよ」
「まことにごじゃりましゅか?!」
「これ幸村!食い意地を張るでない!」
「は!お、おやかたしゃま…!!」
「いいんスよ、いつも遊んでもらってるし。武田さんにもコーヒーくらい奢らせてください」
「これはこれは…すまんのぅ」
「だから梵も千翁も幸村君も、政宗のこと応援してやるんだぞ!」
「「「あい!」」」


もう完食すること前提に話ししてるけど。周りの客もできるはずねぇって顔で面白半分に覗いてきてる。


「では今から15分以内に完食してくださいねぇ〜〜、よーい…スタート!」

店員の合図と同時に一口大に切り始めた政宗。なるほど、先に切っておけば後は口に放り込むだけだし、その間にほどよく冷めてくれるってわけか。
ちっせぇハンバーグがいくつもできた後は早かった。噛んでねぇわコイツ飲んでるわって勢いで胃袋に収まっていく肉の塊を見ていたら、俺まで腹が一杯になってくる。梵も千翁も、初めて見る父親の食いっぷりに口があんぐりだ。半開きになってる梵の口の中にグラタン入れてやったらビックリしてた。
千翁に至っては開きっ放しでヨダレが垂れてる始末。幸村君も武田さんも細身なミテクレとのギャップに驚いたのか固まってるし、周りのじゃじゃ馬もすでに顔が笑っていない。


「ん、…‥っ。食った!」
「じゅ、11分49秒…、です」
「おぉ!やった政宗!」
「うし、今日タダ飯だな」
「「ゴチんなりまーす!!!!」」

大食いで勝ったら毎回言ってた決め台詞も久々に言った。驚異的な早さだな、店のオーナーも泣いてるぜ!

「ぱぱのかち?」
「あぁ、勝ちだぞ」
「やたー!ぼんあいちゅたべゅ!」
「ちおくましゃんのけーち!」
「ぅおやかたしゃまああああしょれがちみたらちがほちーでごじゃりましゅ!!」
「うむ、ならばお言葉に甘えるとするかの!」



かくしてドタバタな初外食は仲良しのお友達も一緒で楽しい時間になりましたとさ。
俺達が残した飯もキレイに全部平らげて帰った政宗の胃袋はどんだけ消化が早いんだろうな。










またひとつ、家族の思い出が増えていくね





(次はみんなでどこへ行こうか)
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幸せ家族で、幸村一家+伊達一家のギャグ、とリクエストいただきました。
ギャグかどうかは別として、一家でのやりとりが非常に楽しかったです…!!
実はリクエストの中で一番始めにネタができたのはこのお話になります。寿司屋かファミレスか迷ってファミレスに…。こんな勢いで元親のことも完食してしまうんでしょうな!

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あきゅろす。
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