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気づいて、気づかないで(学園)
「チカー!」



…この声。毎日毎日聞き慣れた低いテノール。
俺の大好きな声だ。

「…はよ、」
「んだよ、つれねぇの」

まだ寝てんのか?って隣で笑う政宗は、ベタな少女漫画から出てきたみたいなハンサムボーイ。
女からも酷くモテるけど、当の本人はまったく興味がないらしい。
長い間片想いしてるとかで、ソイツの話をしている時は俺も赤面するくらい優しい顔をする。


「…最近どうなんだよ」
「なにが?」
「好きなヤツ。なんか進展あった?」
「や、相変わらずだな。結構モーションかけてんだけど全然気づいてねぇし」
「はは!鈍感なんだな」

少なくとも俺は、政宗のこと親友だと思ってるし。恋路を応援するのは当たり前だろ?
なのにおかしいんだ、政宗が愛しそうにソイツの話をする度に胸がキリキリと痛んで破裂しそうになる。
今だって、進展無しの状況に安堵してる自分がいる。
まるで、ソイツと政宗が結ばれなきゃいいのにって、思ってるみたいに。

始めは親友を取られるみたいな、些細な嫉妬なんだと思ってた。
だけど違ったんだ。俺は、知らないうちに政宗に惹かれてて、いつの間にかこんなにも好きになっていた。

「そろそろ教えてくれてもよくね?」
「なにを?」
「その好きなヤツだよ!」
「普通に無理だろ」
「なんで!」

俺じゃ頼りないのかと言えばそうではないらしい。
それほどまでして隠したい相手って一体誰だ?

「…俺の知ってるヤツ?」
「Ahー…まぁ、お前が一番よく知ってるだろうな」
「……‥菜々とか?」
「違ぇし」
「じゃあ愛ちゃんか?」
「お前、愛のことよく知らねぇじゃん」
「うん、でも仲良さそうだし」

他に女の知り合いってあんまいない。

「そんな模索しなくてもそのうち分かるだろ」
「そのうちってなんだ!勝算の見込みでもあんのかよ」
「んー?…‥あ、佐助」
「話そらすなし」
「あ〜、伊達ちゃんにチカちゃんおはよー。今日もお熱いねぇ」

だろ?なんて恋人繋ぎする政宗に、一気に顔が火照った。

「離、せよ!」
「チカちゃん照れないのー」
「照れてねぇ!」
「素直じゃねぇな毎回」
「うるせぇよ早く離せ!」


苦笑して手を離す政宗がちょっと残念そうな顔をしてたのは気のせいなのかそれとも。
とりあえず、これ以上見つめられると自分の気持ちまでバレてしまいそうな気がして、ずっとそっぽを向いていた。



俺は一体いつまでコイツの隣で笑ってられんのかなって。

見えない恋敵に怯える日々。










僕がどんなに君を好きか、君は知らない





(近すぎて、遠すぎる2人)
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政宗→←元親的な。

タイトルはどちらの視点からでも想像できるようになっております。

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