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little lover boy(現代+幼少)
少しくたびれた黒いランドセルかるって今日も元気に登校するオレ、伊達政宗小学4年生。
絶賛集団登校中にも関わらず列から1人はぐれて好きなことをするのがいつもの日課!



「こら伊達ちゃん!はぐれたら危ないっていつも言ってるでしょ!」
「うっせぇサル!オレは群れるのがキライなんだよ!」
「はいはい分かったから。伊達ちゃんは旦那の隣!次ワガママ言ったら小十郎さんにチクるからね!!」
「ずりぃだろソレ!」

佐助は6年だし班長だからオレに口うるさく注意とかしてきてムカつく。
(でもいつもはいいヤツだし、キライじゃないんだけどな!)

「政宗殿、あと少しの辛抱でござるよ」
「お前よくまっすぐ歩いて登校できるよなー」

オレらの班は人数が多いから2列のふぉーめーしょんで登校する。(オレは自由に動ける突撃部隊だ!)
で、オレの横がタメの真田。ござる口調なんてイマドキ言わねぇけどよ。



「さっさと歩かぬか戯け者が」
「よーナリさん!ぐっもーにん!」
「おはようございまする!」
「…相変わらず人の話を聞かぬ奴らよ」

別の班で登校してきたナリさんに声をかけられて隣に走ってく。(今度は真田も着いてきた。)
ナリさんは迷惑そうな顔してたけど、満更でもないの知ってんだぜ?


「こらー!今さっき列を乱すなって言ったのに!」
「いいじゃねぇか佐助!仲良しなのはイイことだぜ?」
「…!チカ!!」
「よぉ政宗、おはよ」

ナリさんの班の班長、まいえんじぇる元親。
元親の班は6年がいないから、5年の元親が班長らしい。だから4年のナリさんが副班長!かっけェ!

「チカちゃんの班はみんなお利口で羨ましいよ…」
「俺ンとこはほら、元就が恐ェからさ」
「チカ!今日も帰り迎えに行くからな!教室にいろよ!」
「おぉ、つかお前毎日教室の前で授業終わるの待ってんじゃん。飽きねぇの?」
「そのくらい愛の力でこえてやる!」
「はは、なんだそれ」


オレは、元親が好き。ライクではなく、ラブだ。あいらぶ元親だ。でも元親はオレの必死のラブコールに気づかない。
寝てても起きてても、ゲームしてる時も。朝の会も帰りの会も、給食の時間も昼休みだって頭ン中は元親のことばかりなのに。
最近は特にボーっとすることが多くなって、たまに真田とかに心配されるけどオレはそんなにヤワじゃねぇ。



なぁ、こんなに好きなんだよ。
お前のためだったら大好きなおやつだって半分こしてやる。

オレがアイしてやってんだ、キライになんてなったらブッ飛ばすかんな!



「おはようございます兄貴!」
「アニキおはよー!」
「アニキー!!」
「お、今日も元気だなお前ら!おはよう!」

………‥しかし敵は多い。元親はみんなに優しいから腐るほどトリマキがいるんだ。
オレがガン飛ばしてもムダ。元親が怒るしな。だから帰りだけは2人で帰りたくて、元親と一緒に帰らんとするヤツらはてってーてきに片づけた。

1日の中で帰り道が一番好きな時間。
オレが元親の隣を歩ける唯一の。





「悪ィ政宗、俺ちょっと職員室まで用があるからさ」
「は、」
「時間かかるだろうし、先帰ってて!」
「なんだちくしょう!オレ待ってるからな!!」

やっと元親のクラスの帰りの会が終わったのに先に帰れってなんだふざけんな。
げた箱まで移動して待つか。靴があるからココに来るはずだし。

ひまつぶしに宿題のプリントやってたら、丁度終わったころに元親が降りてきた。


「お前、…ホントに待ってたのか?」
「…待ってるって言っただろ」
「…そっか…‥」

元親がいつもより元気ねぇってコトくらいすぐに分かったぜ。
センコーに怒られたんだろってからかっても反応ナシでオレもどうしたらいいかビミョーな空気になってるしカッコ悪ぃな。


「……あのさ、」
「ん?」

「俺…‥転校するんだ」


少しだけ長い沈黙の後。聞こえた事実はあまりにも重くて、寂しい。


「…い、つから…?」
「来月までには…」
「来月って!あと2週間くらいしかねぇじゃん!」
「ココ離れるのはもうちょい早いと思う…、向こうでの準備もあるからな」
「どこなんだよ」
「ずっと遠く。電車で1時間くらいかかるし」
「行くなよ!ひっこしなんて許さねぇから!」
「俺だってヤだよ!でもしょうがねぇだろ!!!!」


泣きそうな元親を見て、ひさしぶりにオレは部屋で大声上げて泣いた。多分、元親も泣いてるから。





心配はしたけど次の日からはいつも通りの元親で。だからオレもいつも通り登校の時とか話して帰りは教室の前で待ってた。
そうしたら1週間とちょっととかあっという間で、今日はとうとう最後の帰り道。
元親はクラスの連中やたくさんのトリマキからもらったプレゼントを、両手の紙袋にギッチギチに詰めてフラフラ歩いてる。


「重そうだな」
「まぁな」
「半分持ってやろっか」
「いいよ別に」
「いいから貸せ」

あー、なんて情けねぇ声出しながら大人しく片方渡す元親の顔が元気そうで安心した。
いつもの帰り道が、なんだかいつもよりも静かな気がして。

最後くらいいいよなって、空いた手と手をつないでやった。(キチンとコイビトつなぎだ!)


「おい、まさむ…」
「いいだろ別に!」

オレだってハズいんだよ…。
小声の独り言に元親は笑った。


「あー!政宗が元親くんと手ェつないでるー!」
「元親も最後まで政宗のお守りとか大変だな〜」
「うるせェ!仲良しの証拠だばーか!」
「ははっ、そんなムキになんなくてもいいだろ」


照れ隠しでギュッと握った手のひら。
強く握り返されたから、ますます顔が熱くなった。

「元親好きだ!」
「俺も好きだぜー」
「あいしてる!」
「お前バカだろ」



元親が知らない街に行っても寂しくないように、オレが毎日メールするから。
字書くのニガテだけど手紙だって送るよ。

誰にからかわれたって、ずっとずっと、元親だけを好きでいる。










だからキライになったらブッ殺す!





(夏休みには、会いに行くよ)
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タイトルの曲を元に。この歌超可愛いと思うんですが。

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