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愛されたい僕らは

「ね、ねえ雅。今日は寒いし晩御飯はシチューにするね?」


“仕事場に居る彼”に作るはずだったシチューの材料を一旦冷蔵庫に仕舞いながら問う。


「お前の好きにしろ」

「うん。ありがとう」


雅のぶっきらぼうなその言い方が今はとても救われる。今の不甲斐ない僕を見ても何も問おうとはしない雅なりの優しさが身に染みた。

だから、雅の為にもシチューの他に付け合わせは何にしようかと考えてるその間に、ゆっくりと部屋の扉が開いていることに気付かなかった




「…だーれだ」

背後から突然何かに顔を覆われて視界は一気に暗くなる。突然のことに驚きから身体が跳ね上がる。


「ッ!?な、何!?」

「ハアー、翔弥…お前今日は帰ってくんなっつったろ。」

「潤、ただいま。予定よりちょっと早く帰れたから、帰って来ちゃった。」

眉間に皺を寄せながら悪態をついた彼を無視して、僕に笑いかける彼…先程まで僕を裏切り続けていた“彼”


「お、お帰りなさい」


なるべく不審に見えないように笑いかけるが、ついさっきまであの行為を見ていたせいか、笑顔が引きつる。

「あっ、今日はシチューなんだ」

「う、うん。寒いからシチューにしたの。それに、翔弥…シチュー好きでしょ?」


うん、大好き。とろけるよいな微笑みをそのままに、背後から抱き締められる

それは翔弥と同じようにあたたかくて…涙が胸に込み上げる




「潤、愛してるよ。」
微笑みを絶やすことなく優しく語りかける彼に、僕はただ、うんと頷く事しか出来ない。


「潤、どうした?」

「っ、…」

「潤こっちにおいで」

“彼ら”に問われても何も言えない僕は四方から伸びてくる手を黙って受け入れるしかなかった。




『僕も愛してる…』









ーーーーーー僕には二人の恋人がいる。
何故恋人が二人も?と不思議に思うだろう。理由は簡単。

僕が優柔不断だから






愛する人が二人いる…それは決して赦されない事。だって愛する人が二人いるということは、結果として互いに傷付き、傷付けられる定めを生む。僕は愛する人と傷付け合う為に二人を好きになったわけではないのに…


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