詩集 悲愴 神は無慈悲にも幸せを大切なものを奪い取る たとえそれが命であっても 奪い取られたものはもう戻ってこない どんなに願っても決して 大切なものが人の命である者は失ったとき狂おしいまでにそれを求める しかし失ったものは永遠に戻ってこない なぜ人は死ぬのだろうか 死ななければならないのか 死の運命は神の意志なのか それとも神さえ手出しできない所で動いていることなのか それは誰も知らない 知ることもできない しかし人を殺すのはいつだって人なのだ 大切な人を失った悲しみはどんな言葉でも言い表すことはできない 心に癒えない傷が深く刻まれ、止まることを知らない血がいつまでも流れている たとえ傷を癒せる者が現れても完全に消えることはない 消えないかぎり心無い者によって抉られ何度でも血は流れる 人は一度死んでもまた生き返る 前世の記憶はないけれど、どこかで生きている もしかしたら近くであなたを見守っているかもしれない だからその命投げ出さないで 強く生きて それが死んだ人があなたに願うことだから [次へ] |