零「きれ〜い!」 一「モモちゃん、モデルの顔になってるね」 万「流石、人気モデルって感じ」 零音、一季、万里、プロを感じさせる百音を感心したように見つめる。 十「写真に性格の最悪さも写れば良いのにな。アイツと姉弟ってだけで羨ましがるクラスの野郎共がわかんねー。姉に欲しけりゃくれてやるっつー、いでっ!!」 十夜、突然側頭部に衝撃を感じ、前のめりになる。 百「あたしがアンタのクラスの乳臭いガキの姉になるわけないでしょうが。寝言は寝ても言うんじゃないわよ」 十「っ…、靴投げんじゃねぇよ!! 凶暴女!! つか一歳しか違わねーだろうがっ!」 百「アンタと同じクラスってだけで十分乳臭いのよ。いーい? あたしはアンタの姉ならいつでも喜んでやめてあげるけど、チーちゃんの妹とイッちゃんレーちゃんの姉をやめる気はこれっぽっちもないんだからね!!」 百音、居丈高に言い放つ。 千「……見事に圏外扱いだな、兄貴」 万「…いいよ、別に。俺だってチーの兄貴をやめるつもりはないし」 千「…………」 万「チハヤさん、その無言の眼差しは何でしょう」 万里、じーっと見つめてくる千早に泣きそうな顔をする。 千「いや、別に、何でも」 万「チー…」 千「情けない声を出すな。兄貴が弟だったら何か変わってたのかなと思っただけだ」 万「俺、チーの弟でもいいけど」 千「やめとけ。今まで以上にモモとトーヤに虐げられるぞ」 万「………そうだね」 千「トーヤ」 千早、未だに百音と言い争いをしている十夜に呼びかける。 十「勘違いすんなバカ女! お前みたいな姉なんて、月夜の方からお断りに決まってんだろ!!」 百「勝手に決めんじゃないわよ! 月夜くんはアンタと違って素直で綺麗で可愛くて、後輩からも慕われる格好いい男の子なんだから!」 十「だからお前みたいに凶暴で破滅的な料理しか作れない女は似合わないって言ってんだよ!! 月夜のお母さんっぷりナメんな!?」 百「意味わかんないっ、何それ! まさかアンタ、高校生になった今でも月夜くんに迷惑かけてるんじゃないでしょうね!?」 十「かけてねえよ! ふざけんな!」 百「どうだか。中学時代、あんなに迷惑かけてたじゃないの。月夜くんだけじゃなくて、らっくんとか時ちゃんにも」 百音、眉を吊り上げている十夜を非難するような目で見下ろす。 十「迷惑かけてたのはお前の方だろうが! 家に呼ぶ度邪魔しやがって!」 百「失礼ね! アンタと違って可愛い三人を愛でてただけじゃないの!」 十「愛でる!? そんなに愛でたきゃMONE信者の後輩でも愛でてろよっ!」 百「はぁ!? 馬ッ鹿じゃないの!? MONE信者はあたしを愛でるものであってあたしが愛でるものじゃないのよ!!」 十「月夜も伊槻もトキトも、お前が愛でるもんじゃねーんだよっ!!」 千「はいはい、そこまで。お前らの思考が似たり寄ったりなのはよーっくわかったから。いい加減終わりにしなさい」 千早、呆れたように溜息を吐きながら二人の間に割って入る。 百・十「「! チー、ちゃん…」」 千「トーヤ、次はお前だぞ」 十「あっ! ご、ごめんっ」 零「トーヤくん、チョコレート」 十「! レーちゃん、ありがと!」 一「トーヤくん」 十「ん? 何、イッちゃん」 十夜、裾を軽く引っ張る一季に腰を屈めて目線を合わせる。 一「髪がぼさぼさになってるよ」 十「〜っ、イッちゃん大好き!」 十夜、髪型を整えてくれた一季をむぎゅっ、と抱きしめる。 十「チーちゃん、よろしく! 格好良く撮ってね!」 千「そうして欲しかったら早くスタンバイしなさい」 十「はい!」 百「イッちゃんとレーちゃんが残ってるんだから、さっさと撮られて終わりにしなさいよ」 十「うっさい!!」 千「――モモ、トーヤ」 千早、カメラのレンズを覗いたまま低い声を吐き出す。 百・十「「ごめんなさい」」 |