零「チーちゃん、きれいにとってね!」 千「任せとけ!」 千早、零音にブイサインを送ってからカメラを構える。 百「や〜っ、レーちゃんかわい〜っ!! 美人さーん!」 一「‥小学二年生には見えないね」 十「もう既に目鼻立ちくっきりしてるもんな」 十夜、凛とした表情でライトの下に立っている零音に感心したような視線を送る。 百「レーちゃんがもう少し大きくなったら一緒に出たいな〜。イッちゃん、その時はイッちゃんもだからね!」 一「、え…」 十「おいモネ。お前まさか『ついでに月夜くんもv』とか言うんじゃねーだろうな」 百「あら、悪い?? 理想の男女四人組じゃないの」 十「だから月夜のメーワク考えろっつってんだろ!」 百「煩いわね。月夜くんに迷惑ですなんて言われたことは一度もないわよ」 十「月夜がダチの家族に向かってはっきり言うわけないだろ!」 百「じゃあアンタにはこっそり言ったとでも言うの?」 十「っ、‥それは…、月夜はそんなこと言わねえよ」 百「だったら黙ってなさい。アンタに月夜くんの本心を決める権利なんてないのよ」 十「…、……」 十夜、悔しそうに唇を噛み締める。 万「でもつき…、月夜くんは雑誌に載りたくないって言うんじゃないか?」 百「マリ男の意見は聞いてないわよ」 十「‥つか、撮影所に連れて行ったらそこら辺の牝狐に囲まれんぞ」 千「牝狐って何の話だよ、トーヤ」 十「あれ、チーちゃんもう終わっ―――!!?」 百「月夜くんっ!?」 十「月夜!?」 百音・十夜、千早の横で零音と手を繋いでいる月夜を見て目を丸くする。 月「こんにちは。ご無沙汰してます」 十「なっ、何で月夜がここにいんだよっ??」 月「図書館から帰ってきたらポストに紙切れが入っててさ、ここに来るように書いてあったから。撮影してたんだって? お疲れ様」 十「え、あ、うん」 百「月夜くん、久しぶり! ちょっと見ない間に大人っぽくなったわねー」 百音、十夜を押しのけて月夜の視界に割り込む。 月「そうですか? ありがとうございます。百音さんは一段とお綺麗になりましたね」 百「やっだぁ、もー! そんなこと言ってくれるのは月夜くんだけだって!」 十「…お世辞に決まってんだろ。自惚れんな」 百「トーヤぁ!!?」 十「げっ‥!!」 十夜、鬼の形相になっている百音を見て逃げ出す。 一「…月夜くん、こんにちは」 月「おう、一季。久しぶり。元気にしてたか?」 一「はい。…図書館で調べものしてたの?」 月「ああ、課題をちょっと。うちのパソコンの調子が悪かったから朝一で行って来たんだ。‥遅くなってごめんな」 一「ううん、会えただけで嬉しいから」 月「俺も久しぶりに会えて嬉しいよ。同じマンションでも階が違うと全然会わないからさ。万里さんもお久しぶりです」 万「、…うん……」 月「万里さん?」 万「いや、…モモとトーヤにどつかれないかなと思って」 千「あの二人なら外まで走ってったぞ。‥月夜くん、ごめん。レー、半分寝てるだろ」 月「いえ、大丈夫ですよ。抱っこしますから」 月夜、抱きついた格好でうとうとしている零音を細い腕に軽く抱き上げる。 月「零音ちゃん、疲れたんでしょうね」 千「かなりはしゃいでたからな…月夜くん、ここまで何で来た?」 月「電車です」 千「じゃあ、帰りはウチの車に乗ってってよ。今日は八人乗りのワゴンで来てるんだ」 月「いいんですか? ありがとうございます」 千「トーヤたちも月夜くんがいた方が喜ぶからさ。な、イチ?」 一「うん‥。どこに座るかで揉めそうだけど」 万「俺の隣の助手席でいいじゃん」 千「寝言は寝て言えよ、兄貴。そんなのトーヤとモモが許すわけないだろ」 万「……言ってみたかっただけです」 |