百「うわ、うっざ。マジうっざ。何あの顔。きもい」 百音、ライトの下で決め顔を作っている十夜を見て心底嫌そうに顔を顰める。 万「……モネさん、顔怖いですヨ」 百「あ? 何か言った? マリ男」 万「イエナニモ」 零「トーヤくん、きれい〜っ!」 零音、百音とは正反対のキラキラした顔で十夜を見つめる。 一「やっぱりトーヤくんは綺麗だね」 百「…!! レーちゃんもイッちゃんも、なんていい子なの…っ!!」 百音、愚弟を褒める愛らしい妹と弟を見て少女漫画のようなポーズをとる。 万「……モネさん、俺の時はレーを説得していませんでした?」 百「黙ってろよマリ男」 万「……………」 万里、怒りの滲み出た「あ゛〜ん゛?」という顔で百音に睨まれ、大人しく口を閉じる。 零「ねえ、モモちゃん」 百「うん?」 零「トーヤくん、レーたちと同じふくじゃいけなかったの??」 百「、………」 万「………」 百音・万里、零音の爆弾発言に停止する。 一「レーちゃん。トーヤくんは男の子だから、僕と同じ衣装なんだよ」 零「…でも、トーヤくん、おひめさまやってたよ?」 一「あれはね、笑いをとる為に役の性別を男女逆にしたんだよ。今回は笑いをとる必要がないから、トーヤくんは陸海十夜として男の子の服を着るんだ」 零「そっかぁ……」 百「レーちゃんはトーヤが女の子の格好をしてても、気にならないの?」 百音、零音の前にしゃがみこんで首を傾げる。 零「ぜんぜんっ! だって、クラスのみんなもきれいでうらやましいって言ってるもん!」 百「…そっか」 万「レー、どうしてレーのクラスのみんなは、トーヤの顔を知ってるんだ?」 零「トーヤくんだけじゃなくて、マリちゃんたちのかおも知ってるよ! しゃしん見せたから!」 一「‥写真って、夏休みの宿題で提出した写真?」 零「うんっ!」 万「…そんなのあったっけ?」 百「あったわよ。たった一年前のことなのに、もう忘れたの? 流石筋肉馬鹿のマリ男ね。イッちゃんの記憶力を少しは見習いなさいよ」 万「……自分だって敵わないだろ」 百「進級を危ぶまれた馬鹿に言われたくないわ」 万「……………」 万里、モデル業と勉強を両立させている百音に蔑まれ、視線を逸らす。 十「イッちゃん、終わったよ〜」 千「イチ、撮るぞー?」 一「うん、今行く」 一季、チョコレートを手にスポットライトの下へ向かう。 零「トーヤくんトーヤくん、すっごくきれいだったよ!」 十「っ! レーちゃん、ありがと〜!!」 十夜、腰に抱きついてきた零音を抱きしめ返す。 万「トーヤ、レーがトーヤくんはレーたちと同じ服じゃいけなかったのか、だってさ」 十「…、…笑ってんじゃねぇよ」 百「あたしはアンタの女装より月夜くんの女装の方が見たいけどね」 十「‥お前どんだけ月夜が好きなんだよ」 百「真夜中に叩き起こされても許せるくらい?」 十「………そうかよ」 百「でも月夜くんってあんなにモテるのに、一度も彼女作ったことないのよね? 何で?」 十「俺たちと馬鹿やって騒いでる方が楽しいんだと。別に邪魔なんかしてねぇよ」 百「何言ってんのよ。むしろ邪魔しなさいよ!」 十「、は?」 百「アンタ、学校は違っても降りる駅は一緒なんでしょ? 月夜くんに色目使うようなクソ牝狐がいたら蹴散らしなさい!」 百音、目と眉を吊り上げて十夜に詰め寄る。 十「誰がそんなことするか! 大体、月夜は女の誘惑なんかに負けねぇし、逆に無意識に誘惑する方だっつーの」 百「…よくわかってんじゃないの」 万「お前ら、月夜の保護者のつもりか?」 百・十「「呼び捨てにしてんじゃねぇよ」」 百音・十夜、息をぴったり合わせて万里を睨みつける。 万「……………」 |