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♯ 瞳を開けて微笑んで?


 はやと、さん。


目に涙をためたハルが俺の名前を呼ぶ。
目にはたくさんの涙を溜め、抑えきれなくなった雫が彼女の頬を流れおちる。
瞼が赤いのは、きっと俺が泣かせたせい。

「またこんなに怪我だらけになって…。」

「悪ぃ。」

「もう、その言葉は聞きあきました…。」

何時もと変わらない任務の後に繰り返す会話。
今までは、こんなに泣かせたことなんかなかった。

「ハルは、隼人さんが死んじゃったらどうしよう…って」

「………。」

「ずっと、ずっと…心配していたんですから!!」

涙でぬれた頬を隠すかのように掌で顔を覆い、言葉を紡ぎ出すハル。
出てくるのは謝罪の言葉ばかり。
今自分に出来る事は、彼女の頭に手を載せて謝るくらい。




好きで 好きで 好きで
あなたが居ないと、ハルは不安になるんです。
だから、気を失って帰ってきた隼人さんを見て背筋が凍りそうになりました。
ただ気を失っていると分かっているのに、閉じたままの瞼が怖くて。
二度と彼の翡翠の色をした瞳を見ることが出来なくなってしまうんじゃないかって、有りもしないことまで考えそうになって辞めるんです。

ふわりと頭に感じる重みに目を向けると、隼人さんの困った顔と謝罪の言葉。
ハルは、また彼を困らせてしまって。

「心配掛けて、わるかった。あの…ありがとな」

「………は、ひ?」

しっかりとハルの目を見て紡がれた言葉。
その最後には、感謝の気持ちも伝えられていて何故言われたのか理解が出来ず、瞬きを繰り返すと、隼人さんは、クスリと笑った。





隼人さんが生きててくれてよかった。

お前を一人残して死ねるわけないんだ。



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