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短編初音ミク2 ハロ/ハワユ
ある日の学校のいつもの日常
ミクは窓際の席から外を眺めていた
しかし、窓の外はモノクロの世界にしか見えない
毎日朝起きて学校に行き、帰ってくる
変わりのない日々に退屈する
ミク「はぁ…」
一つため息をつき授業が終わったことを告げるチャイムがなる
ミク「…教室からちょっとでよっと」
ミクは教室を出て施錠されてない屋上へ出る
ミク「なんだか生きることがわずかに重たいな…」
そんな事を言いながらいつもの指定席である屋上の縁に腰掛ける
下を見れば昼食で誰も通らない渡り廊下が見える
ミク「この息苦しい重さって飛び降りたら軽くなるかな…」
そんな事を考えながらミクは下を眺める
ミク「心の天気予報は明日晴天ですか?」
ミクは自分に問い詰める
だがミクの瞳に映る毎日(けしき)はいつも同じだ
ミク「また、どうせ同じでしょ」
いつも通り決めつける
空を眺めながら考える
だいたいは独り言となって口からぼそぼそでる
ミク「果てしない道のどこかに落ちてるかな…探しモノ」
いつも何か見つからないまま日々を過ごしている
ミク「明日になればきっと見つかるから」
そんな事を毎日考える
自分の中の何かに「今、目を覚まして」と励ましてみる

教室に戻り放課後を迎える
ミクは自分に何があるのかと問いかける
自分のノートに答えがないか開いてみた
そこには白いページだけがあった
ミクは多分それは自分の絵具で描くための最初のページなんだと思った
ふと見上げた青い空がミクの目に鮮やかに映る
ミク「出来ればこんな風に色を染めてみたいな」
そう思いながら筆に手を付ける
ミク「果てしない空の向こうに待ってるかな、探しモノ」
そんな事を考えながら青色で色を塗っていく
昨日より少しだけ前を向いて今、手を伸ばせるように
ミクは思いついた絵を無我夢中で描く
屋上で生きることがわずかに重たいなんて思っていたのはおしまい
ミク「人間がここに生まれてきた意味なんて、無いよ」
ミクはふと口ずさむ
ミク「だからみんな見つけ出すんだ生きる理由を」
筆で塗りながらミクはぼそぼそと言う
ミク「果てしない道のどこかに落ちてるかな、探しモノ」
ミクの絵が仕上がっていく
探しモノは明日になればきっと見つかるから自分の奥にしました心を目を覚まさせて
ミクが描いた絵は青色の階段は空に向けて上っていく絵だ
ミクはいつもよりすっきりした気分で学校を後にした
ミク「絵をあのままにしちゃったなー」
ミクは自分の手を見つめる
ぎゅっと両手を握りしめ探しモノは見つかると思いを込めた
生きる理由は見つかると信じて

生きる理由を探しながら月日が流れた
気づけば生きる理由を探してることも忘れて
ミク「ハロー」
窓を開け誰もいない部屋で1人小さく呟く
頭の中で「ハワユ」という言葉が響く
ある平日の朝
土砂降りの雨が静けさを奪う
部屋の中ではティクタクと時計の音が響く
ミク「あの時計みたいに動けるように私のネジを誰か巻いて」
またいつもの独り言が始まる
いつも独り言や愚痴を黒いうさぎのぬいぐるみにぶつける
最近は情緒不安定な気がする
泣いたりする時間が増えた
今日もいつも通り仕事の準備をする
だるい体を動かしとりあえずテレビを付けた
テレビの中のニュースキャスターは元気よく「ハロー」と挨拶する
ミク「ハロ…昔のアニメにそんなのいたっけな」
おぼろげな記憶をたどる
ミク「アニメのキャラクターはいいよね。羨ましいなみんなに愛されて」
時間を見て少し急ぐ
ミク「バカなこと言ってないで支度をしなくちゃ」
洗面所へと向かう
鏡を見ると昨日の涙の後が残っている涙の後を隠すように顔を洗う
洗った後鏡を見てもまだ涙の後が残る
ミク「まぁいっか」
その言葉で全てを終わらせる
最近は「まぁいっか」が口癖になっている
何か悪いことがあれば「まぁいっか」が全て解決してくれる
そんななか昨日の言葉がふと頭を過ぎる
昨日、ミクは頼まれていた計画書で失敗したのだ
それも初めてではなく前にも何度かあった
会社の上司に謝りに行った
ミク「本当にすみませんでした…」
上司「いいよ、もう君には全然期待してないから」
その言葉はすごくショックだった

顔を洗い終えた後、ミクは独り言をつぶやきながら準備する
ミク「そりゃまぁ私だって、自分には期待してないけれど。…アレは一体どういうつもりですか」
やり場のない怒りが溢れる
本当はあの時言いたかった
もう喉元まででかかっていた
しかし、口をついて出たのは嘘だった
ミクはこうして今日も貴重な言葉を浪費して生きていくんだと思った
ミク「…なんで隠しちゃうんだろ」
ミクは上司に言ったらどうなるか考えた
だが、上司に言ったら職場の笑われ者になる
そう考えたら怖い
ミク「…誰にも会いたくないなぁ」
ふと呟くがそれが本当なのか自分でもわからない
曖昧に身を任せまるで曖昧というなの海に溺れたような感じがする
曖昧過ぎて息も出来ないほど苦しい
正確なものがわからない
ミク「…少し声が聞きたくなってきた」
ミクは友人と話したい
昔からよく相談に乗ってくれて声を聞くだけで安心出来る
ミク「本当に弱いな…」
自分が情けなくなり苦笑いしか出来ない
出勤時間は刻一刻と迫ってくる
一向に進まない支度の途中、朦朧とした頭で思った
「もう理由を付けて休んでしまおうかな」と
ミク「いやいや分かってますって、何となく言ってみただけだよ」
ミクの独り言は尽きない
ミク「分かっているから怒らないでよ」
自分の頭に言い聞かせる
ミクはさらに色んなことを考える
幸せだろうと不幸せだろうと平等に残酷に朝日が昇ること
時間は平等なのにと思う
ミク「生きていくだけで精一杯の私に、これ以上何を望むというの」
ぬいぐるみにぶつけても答えは返ってこない
ミクはそもそも何故自分は気にしてしまうのだろうかと思った
ミク「本当は私、愛されたいのかな」
アニメのキャラが愛されてることに嫉妬する発言をしていたのでふと思った
だが、愛されたい気持ちとは逆にその手を離したのは自分なのではないかと考える
ミク「…疲れてきた」
生きることがまた僅かに重たい
ミク「人生にタイムカードがあるなら終わりの時間は何時なんだろ」
ミクはぬいぐるみを持ち上げ顔を近付ける
ミク「私が生きた分の給料は誰が払うの」
もちろん答えは返ってこない
ミクは泣きそうになる
頭にいつも支えてくれてる友人が浮かぶ
ミク「…そう言えばちゃんとお礼言えてない…」
会話の中のありがとうではなく一度だけでもいいから心の底から大泣きしながらありがとうと言いたい
ミクはアドレスを開き電話をかける
相手は友人だ
友人はミクが泣いていることに驚いていた
ミクは話せず泣いてばかりだ
話をするのが怖くて隠してしまう
友人はミクの気持ちを察して「隠すことないよ。お話聞いて欲しいのでしょ?」とミクに言葉をかけるミクは泣きながら「うん」と呟いた
友人「ミクの話、絶対に笑ったりしないから、話してみない?」
ミクは思った
友人にほとんど見透かされてると
少し恥ずかしい気もするが安心する
だけど、口を開かなければ分からない
思っているだけだと全ては伝わらない
ミクは人間はなんて面倒くさい生き物なんだろうと思った
ミクは友人に話した
いっぱいいっぱい伝えた
話している途中で泣きすぎたり話がぐちゃぐちゃになったりしたが、友人はじっくり聞いてくれた
ミクは友人に「ありがとう」と心の底からの気持ちを伝えた
ミクはいきなり電話をかけたので挨拶してないことに気づいた
ミクは「ハロ」と言った
友人は「ハワユ」と返してくれた
2人は笑った
電話越しに笑い声が聞こえてくる
ミクは仕事に行くので電話を切ることにした
ミク「ふぅ…なんだかすっきりした」
今日仕事に行くミクは今までと違い軽やかな足取りだった









第一部 モノクロ∞ブルースカイ
第二部 ハロ/ハワユ

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