報告5
ハズレくじを引いてしまったのかな、と祐さんに聞こえない程度の溜め息を軽く吐き、一人席を立つ。
光「これからPC操作をさせていただきます、1年S組の明正利光です。よろしくお願いします」
当たり障りのない、在り来たりな内容で挨拶をする。
挨拶のセットには毎度お馴染みになり始めた、お得意の造り笑顔。
流石に以前行った、クラスでの様な騒ぎにはならなかったが、それでも何人かの教員は好奇な目で俺を見てきた。
「ほぉー、そうですか……君がねぇ。お初にお目にかかります、私は科学部の総括って言うんですかね?まぁ担当主任みたいな事をやってます。磯辺 匠(いそべたくみ)です、お見知りおきを」
丁度、祐さんの左隣に着席していた眼鏡と天パの髪型が印象的な、白衣男が値踏みするかの様に眺め、挨拶してきた。
なんか、嫌な感じ。
公衆の面前でジロジロと眺めやがって。
「こらこら、磯辺先生。真っ正面から値踏みする人がいますか?全く、明正君に失礼ですよ」
磯「おや、清水先生。いや〜申し訳有りません、優秀な人材と聞きましたからねぇ。無意識にと言いますか……どうです?今からでも科学部にいらっしゃいませんか?」
光「えっ、あ、その……遠慮、しときます」
この人のお眼鏡に適ってしまったのか、怪しい目つきで勧誘されてしまった。
だけど、この人の怪しさを本能が察知しちゃったのか、動揺しながらも断りをいれる。
この時だけは要は書類から目を離し、俺の視線の先の男を睨み付けるかの様に見ている気がした。
何で要は今ので反応したんだ?関係ないのに。それに、あの目つきは止めた方が良いと思うぞ?
美麗な顔が台無しだ。
「もー、抜け駆けは駄目だよ?それは此処にいる皆が思ってる事だよ。初めまして、利光君。僕は普通部を担当してる清水 健(しみずけん)って言います。教科担当は現社です」
先程からずっと笑みを絶やさずに微笑み続けていた、見るからに年齢不祥だと疑いたくなる様な男が、磯辺を窘みながら挨拶してきた。
だって……え、中学生?
先生にしちゃ容姿が幼すぎるだろ。
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