報告3
要光「失礼します」
一向にノックしようとしない要の代わりに俺が代表でノックした後、掛け声と共に理事長室へ入って行った。
理事長室にはただ一人、祐さんだけが待っていた。
だが、この部屋には居ない様だけど、先ほど要が言い挙げてくれた人数分の気配が近くに揃っているのを感じる。
俺達が入ってきたのを視覚で確認すると、祐さんが声を掛けて来た。
祐「お待ちして居りました、冷泉君に利光君」
要「長らくお待たせした様で申し訳ないです」
光「…すみません」
内心、要が敬語なうえ謝罪までしたことに驚きを抱きながら俺も謝罪の言葉を紡ぐ。
祐「準備などが御有りだった中、急にお呼びだてしたのは此方です。どうぞお気になさらないで下さい」
その後“この部屋では狭いと思いますので、隣の会議室へ移動しましょう”
、と祐さんに連れられて隣室へと移動を始めた。
理事長室に入って直ぐに感じられた気配の全ては、この部屋から感じられていたものらしい。
皆一様に椅子に座って待っているのだが、待ち方が人それぞれと言うか……十人十色が表れている様だった。
ある人は目を瞑りながら腕を組んで待っていたり。
ある人は暇な時間を無駄にしない様に書類を確認していたり。
ある人はテーブルに肘を付きながら携帯の操作をしていたり……と。
ちょっと驚きな光景だった。
でも一番驚いたのは、やはり焔先輩だな。
周りは教師陣ばかりだと言うのに物怖じする事無く、むしろ余裕な様子で……
……テーブルに突っ伏して眠っていた。
要が席に着く間際に揺すり起こしていたので問題は無いと思うけど。
俺はあの瞬間、先輩の見方を改めたね。
あの人の器は大物だよ。
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