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僕らの場合



つるんでるヤツらが適当に集まる倉庫の端には、微妙にカビ臭いソファが置かれていた。
ただ今その上に寝そべりながら優雅にAV鑑賞中。

パソコンのスピーカーから流れるAV女優の喘ぎ声を聞きながら、思い出すのは猫ばばクソ野郎の根性悪そうな笑みだった。


「何してんですか達也さん?」


ぼーっとパソコンに向かっていると清水が話しかけてきた。何となく心配そうな顔してる。

そういえば今日は哲に会うってこと言っていたなと思い出す。


「見て分かんねえのか?AV見てんだよ」

「や、それはそうですけど。……哲さんは?」

「俺の家で知らない野郎とエッチちゅー」


パソコンから顔を上げずに言うと清水の慌てる気配がした。

俺の方はといえば、エッチって言葉を口にするだけでちらちら猫ばばクソ野郎が頭に浮かぶ。

童貞でもないのに、あの男が腰を揺らす姿が離れない。
そして快楽、勝利、嘲りが混ざった熱に酔った顔。

一回公衆便所でヌいたはずなのにまた勃ってきて、自分をごまかすために溜め息を吐いた。


「たっ達也さん!!止めなくていいんですか?」


清水の声がうるさい。

アイツの声が思い出せないじゃんかと俺は眉を顰める。


「言って止める男じゃないじゃん。今までもこれからも」


それに今は哲のことはどうでもいいことだった。どうにかして猫ばばクソ野郎に近づきたい。それだけが重要だ。


「だからって……!!またココ連れてきちゃってもいいんですか!?」

「清水――!」


清水が怒鳴った。

俺はその言葉にはっとして、顔を上げる。

そうだ、あまりにあのクソ野郎を考えるばかりに忘れていた。

哲は浮気した相手を頻繁にここに連れてくるんだ。
そしてまるで俺に見せつけるみたいにしていく。はっきり言って初めの方は腹が立ったし殴って、罵った。

それでも哲は浮気もここに連れてくるのも止めなかったんだ。

だったらアイツも連れてくるかもしれない。

俺は嬉しくなって微笑んだ。


「達也さん……」

「清水、ありがとうな」


お前イイコト言ったよ。
なんだか悲しそうな清水の頭を俺は撫でた。







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