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出会い


これは暖かく柔らかい、けれど胸を締め付けられるような、痛みにも似た感情を描いた僕の初めての長く短い、そんな小さな、恋の物語。







彼と初めて出会ったのは、屋上でだった。
頬を撫でる緩やかな風が彼の黄金色(こがねいろ)の髪を暫く靡かせていたのを覚えている。僕にとっては、あの黄金色の髪と腕に強く刻まれたあの青い龍の刺青が印象的だった。彼の背後には黒いスーツを着た彼の部下らしき人物が居た。
当然、並中の生徒でない彼を不法侵入と見做した僕は両手に愛用のトンファーを構え鋭い視線を送る。


「あなた、誰」

「俺は今日からおまえの家庭教師を務める跳ね馬ディーノだ。よろしくな!」

「家庭教師?そんなの頼んだ覚えはないんだけど」

「リボーンから頼まれたんだが、何も聞いてねぇのか?」

「赤ん坊に?…へぇ。まぁそんな事はどうでもいいよ。僕はただ不法侵入者のあなたを咬み殺すだけだ」


そう言いながら僕は跳ね馬ディーノという鞭を手に持った男を咬み殺そうと空いていた距離を縮めトンファーを彼に振るった。
「なっ、聞いていた通りとんだじゃじゃ馬だな!」
とか何とか言っていた気もするけどこの先は面倒くさくて余り覚えていない。
ただ、彼は強かったから僕は存分に戦える、咬み殺せるという何とも言えない血の騒ぐ様な歓喜に満ちた胸の高鳴りにひっそりと、口角を持ち上げ口元に弧を描いていたのだけは確りと、憶えていた。

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あきゅろす。
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