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藤山のHRが終わり、彰時は藤山の背中に「藤山」と声をかけた。
すると藤山は困った顔をしながら振り向く。
「藤山先生、なんだけどなぁ」
「どーでもいいって。そういや藤山ってフルネーム何だったっけ?」
「じ、自己紹介したはずなんだけど…。藤山 晋二だよ」
「ふーん、あっそ。藤山ってさぁ」
「か、変わらないんだ…。あはは」
「T●Iのルカみたいなキャラだよな」
人差し指を立ててそう言った彰時に藤山は固まった。
しまった知らないか、と思い言い直そうとしたら藤山は思い出したように「あ」と言う。
「あぁ、ルカ・ミ●ダのことかい?僕そんなかな?」
今度は彰時が固まってしまう。
何か変なこと言ってしまったのだろうか、と不安になったのか藤山は急に狼狽え始める。
「藤山、T●I知ってんの?じゃあテイ●ズ知ってるとか!?」
「知ってるよ。色々クリアしたんだ」
「じゃあじゃあF●とかディス●イアとかサ●ンナイトとかキ●グダム●ーツとかも!?」
「うん、知ってるよ」
彰時は目を爛々と輝かせながら藤山を見つめる。
藤山は困ったように眉を下げていると彰時に両手を掴まれた。
「藤山ってゲーマーだったんだな!気付かなかったよ!」
「そう、ゲーマー。職場ではゲームの話とかできなくてね。梶澤くんみたいな人がいると嬉しいよ」
「藤山、俺のことは梶澤っちもしくは彰時っちと呼んでくれ!!」
「え、じゃあ──」
「彰時っち☆」
場の空気がピキリと凍る。
空気以前に彰時のみが凍ったとも言えるであろう。
カクカクと人形のように頭を斜め下にずらす。
ずらした先にはやはり、あいつがいた。
「ひぃでっきくぅぅん、俺とあーそびーましょー?」
「うやー、彰時っち人差し指じゃなく中指立ってるッスよぉぉぉ!!」
「意味わかるよなぁ?脳ミソとろけたサッカーボールでも意味くらいはわかるよなぁ?一遍死んでみるぅ?」
「め、目が…据わってるッスよぉぉぉッ!!」
こんな彰時と秀樹の会話を聞きながら藤山は「仲良しだね」と笑ってから腕時計に目を移し、職員室へと歩いていってしまった。
その後、秀樹は地獄を見たという。
「ふぁぁ…」
大きなあくびをしてから渡されたトレイを受け取り、適当な椅子に座る。
今日はなんとなくカレーライスの気分だったため、昼食はカレーライスにした。
スプーンを手に取り、カレーライスをすくってから口に入れようとしたその時。
頭に衝撃。
「がふッ!?」
彰時はその衝撃でカレーライスをすくったスプーンを床に落としてしまった。
そのまま首を垂らしてから頭を押さえ、青筋を立てながら振り返る。
そこには転がってきたサッカーボールを手も使わずに足だけでバウンドさせ、宙に浮かせているサッカーバカが。
「秀樹、テメェかぁぁッ!?」
「オレジャナイオレジャナイ」
「何で棒読みなんだ何でちゃんと目を見て話さないんだ。仕返しか?お前もガキだな」
肩をすくめて見せると、秀樹はムッとした。
サッカーボールを膝で上げてから両手でキャッチし、小脇に抱える。
「体は大人、頭脳は子供。その名は樋野坂 秀樹…!!」
「はいはい、わぁったわぁった」
「小さくでもいいから反応してくれよ、寂しいだろ…」
再びリフティングし始めた秀樹は器用にもリフティングしながらサッカーボールのようなおにぎりを食べ始めた。
彰時はスプーンを拾い上げ、息を吹き掛けてからカレーライスを食べ始める。
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