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途中編入




「また女の子の転入生だぞー」




女の子という単語にクラスは色んな意味でざわめく。

この時期に転入してくるなんて、哀れ、かもね。

担任の「よし、入れ」という声を合図に扉が開く。

入ってきたのは黒いふわふわしたショートの髪の女の子。

いや黒というより、なんだろうか。

黒よりもっと深い、そう闇のような色をしていた。

目も同様に闇色だった。

吸い込まれそうな錯覚。




「酒戸未栗」




凛とした彼女の声に、はっと我に返った。

そこらへんの芸能人より綺麗な子だった。



「クラスに一言は?」

「特にないです」

「は?」

「席は、どこに行けばいいですか」



彼女は変わっていた。

姫も変わってるけど、姫とはまた違う……






「はいはいはーい!!」

「なんだ麻生」

「未栗ちゃんは私の隣りがいいな!」

「姫の隣りって……俺の席なくなるじゃん」

「あ、そっか〜…」

「姫の後ろだったらいいんじゃない?」




全く、言い出すとは思ったけどね。

俺が姫の傍にいないと守れなくなるよ。

姫を守るのが俺らの役目。

姫を騙す奴なんか、姫を利用する奴なんか、みんな消えちゃえばいいのにね?

そしたら、平和だよ。

みんな幸せになれるんだ。



「はぁ……酒戸、一番後ろの窓際の席だ」

「はい」



漆黒の闇色の瞳はクラスの誰も視界に留めず、歩き出した。





...Be Continued




あきゅろす。
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