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勇者イカロス(学/政宗)
「むーかーしギリシャーのイカロースーはぁーろうでかためーたとりのはーねぇー…あーよいしょ!」

寒い朝の登校中、私は周囲に家がなく人っ子一人いない通学路でよく大声を出して歌っている。これ、意外とストレス発散になるのよね。

「りょーてにもってーとぉーびたったー…ヘイヘイヘイヘーイ!」

そんな、今日に限って小学生で習った懐かしい歌を熱唱していた。しかも変な相槌つきで。ホントにこの歌はいつになっても歌いたくなる名曲なんだよ!きっと小学校で習った歌ランキングとかやったら上位に入ってくると思うよ!

「……何でイカロスは勇気だけ持って行ったんだろ…。ア○パ○マ○なんて愛も一緒だったのになあ」

歌が終わり下らない独り言にまで発展した時、ようやく後ろから聞こえてくる足音に気が付いた。

(うっそ!?…めっちゃ恥ずかしい…!後ろ向いたら顔ばれちゃうよね…うわーマジでどうしよぉ…)

「…名前……?」

(ええっ!名前呼ばれた!?ってことは、私の知ってる人かよ…!やっばい。さらに恥ずかしくなってきた!でも、この声って……)

「名前、だよな…?何そんなでけぇ声で歌ってんだ?」

(や っ ぱ り ま さ む ね か よ ! ?)

「………はははっ(向けん。後ろ向けん。恥ずかしすぎる。それよりも何故この道にいるし!)」
「にしても、お前も幼稚な歌うってんなあ」
「……う、うっせーし!!!(お前にイカロスの何が分かるんだっ!)」

政宗の言葉に反抗しようと勢いで後ろを向いてしまった私…この単純さを本当に恨むよ、本当に。
そして恥ずかしくなった私は、耐えれなくなり政宗を置いて全力で走った。お陰で今日は一番に教室入り。やったー!誰もいない教室って何か優越感ある!って、そんな事言ってる場合じゃない!私の後ろの席って政宗じゃん!!?

「あああぁぁあぁああ〜どうしよぉ〜…」

私は朝の羞恥を思い出し、誰もいない教室の窓際にある、自分の机にうつ伏せになって唸った。

「あああ〜もぉ〜ホントなんで今日に限ってよぉ〜……あんな大声で歌ってる姿を政宗に見られるなんて…。女として見てもらえないかなあ?嫌われちゃうかなあ?ヤだなあ…好き、なの…に………ん?…ぁあ?」

女の子とは思えない声を出し、そっと机から顔を上げる私はきっと一瞬にして真っ赤な顔になったと思う。
素晴らしいくらいはっきりした独り言。その独り言を一番聞かれたくなかった彼、伊達政宗が私の前にいた。

「な、なんで政宗が、もう、来てんの…?」
「俺がschoolに来て何が悪ぃんだよ」
「だ、だって遅刻の常習犯…」
「お前追い掛けたら早く着いたんだよ」

無我夢中で走る私はメロスよりも速かっただろうな…。いや、ベン・ジョ○ソンか?

「今朝と言い、今と言い…お前の独り言は傑作だな」
「〜〜〜〜っ!!」
「で、名前は俺の事が好きなのか?」
「……………うぅ(やっぱり聞かれてた…)」
「どうなんだよ、名前…」

政宗はどんどん顔を近付け、私に迫ってくる。

「し、知らない…(なんだ、このイケメンは!)」
「知らない、じゃねぇだろ」
「うわー!寄るな寄るな寄るなーっ!!!」
「名前がちゃんと言ったら離れてやるよ」

政宗に両手首を捕まれ、逃げることができない私。この時、私と政宗の距離が物凄く近い…ドキドキする、心音聞こえちゃいそう、顔真っ赤だろうな、恥ずかしい…


………ガラッ


「おっはよー…って竜の旦那何やってんの!?てか何でいるの!!?」
「……………Ah?猿か……チッ」
「……さ、佐助くん…!」

1人パニックになっていると、教室に入ってきたのは佐助くん。佐助くんって学校来るの早いんだな…。でも、佐助くんが来たから、政宗は渋々、私から離れた。

「Shit…本当に間の悪ぃ猿だな」
「え、俺様何かした?」
「Yes,かなりの大罪だ」
「そんなに怖い顔しないでよ竜の旦那〜」

政宗に悪態を吐かれても軽く受け流す佐助くん。強いな…うん、強い。

(…でも、佐助くん、ありがとう…!)

私は佐助くんに心の中で、こっそりと感謝の言葉を送る。

「名前、」
「あ…は、はい!(…なんか怖いよ!声低いよぉ!)」
「さっきの続きはまた放課後な?you see?」
「………イ、イエス…(断 れ な い !)」
「OK.じゃあ放課後、セリフ決めて屋上に来いよ」

外野で佐助くんが「え?何なに?何か楽しそうなんだけど!ってシカトやめてくれないかな?オーイ聞いry」なんて声も聞こえた気がするけど、そんなのに構ってる暇はない。
こんなに学校が終わってほしくないなんて思ったの、始めてだよ。


(先生、熱っぽいので早退していいですか?)
(逃げるのは無しだぜ、名前)


*********
書くだけ書いて、存在を忘れていたら、季節がずれました。それを気にせずアップする私は勇者(…)。
書き直すか、消去するかも、しれないけれど、一応アップしてみました。何なんだろう…。

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あきゅろす。
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