これが夢ならなんて残酷な<042>
ここ最近ヴォルデモートさんの姿を見ることは少ない。
出掛けるときの言い付けは忘れていない。けれど、本音を言えば結構飽きる。
本当に必要なときは除いて、この部屋から出ないようにとのことだ。
話し相手が欲しければレギュラスが来てくれる。読みたい本だって頼めば手に入る。本以外においても同じことは言えるし、部屋自体も素敵なものだ。
だから“本当に必要なとき”というのがいつまで経っても訪れない。
そう、
快適なのだ。
過ぎるほどに、快適。
「でも、なんかチガウよなぁ……」
ねっころがってるこのソファーなんて最高にふかふか。
そもそも、どうして部屋から出ては行けないのか。
理由は聞いていないから知らない。
きっと出てしまえば私に都合の悪いことでもあるんだろう。(我ながら自意識過剰な考えだ)
理由があろうとなかろうと、約束は守ろうと思う。
例え一方的に言われたことだとしても。
ただ単に、私が勝手に歩き回る事によって増えるだろう面倒ごとが嫌だったからという理由だったとしても。
ここに着いたときみたいな目に遇うのは二度とゴメンだ。
それに、少なくとも彼の部屋に残されたということは信用されていると自惚れるに充分なことだ。なら、その信用をわざわざ壊すのは得策じゃないだろうし。
忘れてはいけない。
私は“居候”
いつだって切り捨てるのは簡単な存在。
そうだ。居候。
どうしてヴォルデモートさんは私を居候させているのか。
自分で言うのもなんだが、私を居候させる利点なんてない。
利用価値なんか、もちろん。
唯一珍しいものがあるとするなら陰陽道をかじってることぐらい。だけど、あの時点でヴォルデモートさんに何も力は見せていなかった。
突然現れたっていう時点で奇怪だが、あれは黒フードの方々が伝えてからの話だ。
もしかしたら、あの時既に伝わっていたかもしれないが私の力ではないから数には入れないでほしい。
「良紀……?」
――そういえば、あの時ヴォルデモートさんは私を呼んだ。
私はそれまで一言も発していなかったのに。
名前も、何も。
厳密に数えれば、ついていないと自分の身を嘆く言葉を呟いたのが一つだけあるが、そのくらい問題じゃないだろう。
第一、ヴォルデモートさんは得体のしれない人間を自分の領域に入れるような人でない。
これは今まで見てきた中、かなりの自信を持って言い切れる。
思えば、ここに来てからこんなに深く考えたのは初めてだ。
ゆっくり考えてみるとある一つの仮定が浮かび上がってくる。
これはきっと気のせいじゃない。
もしも彼ならあれを持っていたことも全てに説明がつく。
あとひとつ、
あとひとつで確信できる。
042:これが夢ならなんて残酷な
最後はもちろん、あなたの一言
――――やっと、
やっと会えるよ、リドル。
―※―※―※―
はい、
リドル=卿
を気付かせてみた(^ω^)
ってかこんなに地の文?書いたの初めてだ(゜∀゜;)
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