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貴方が私のものにならないのならば<047>


「ねぇ、グラハム。君、謝ったのかい?」

「……誰にだ?」

本当はわかっている。
カタギリが言いたいことぐらい予想はつくし、私自身がずっと気にかけていることだから尚更。
しかし、良紀に避けられていることは火を見るより明らかだろう。連絡の術を全て徹底的に絶たれたほどだ。自分で言うのもおかしいが尋常な嫌われ方じゃない。ここまでくれば拒否なんてものじゃなく拒絶だ、絶対。

「決まってるだろう、わかってるクセに。まぁ君の問題だから口煩くは言わないけど、傷付けた女性に謝罪の言葉一つ送らないなんて紳士の風上にも置けないと思うよ」

それは、ドーナツを噛みながらいう台詞か。もう少し真面目な姿勢というか真摯さというか……こんなこと私が言えた義理ではないな。少なくとも、好意を寄せた女性にあんなことをする人間が紳士であっていいはずがない。

「放っておいてくれ」

私だって出来ることなら謝りに行きたいさ。そして願わくば彼女の声を聞いて笑顔を見たい。これを誰かに教えれば、強欲だと馬鹿にされるだろうが別にされたって良い。彼女が愛しい故だからしかたない。
けれど、その良紀に私は拒絶されているんだ。会える可能性すら与えられていないのにどうすればいい。

「あ、そう。その気になれば見つけることだって出来るのに、そうやって逃げ続けるんだね。」

うるさいな。じゃあカタギリは出来るのか?
自分のしたことの所為で一度明確な拒絶を受けたのにも関わらず、その姿を求めることが出来るとでも?わざわざもう一度決定的な拒絶を受けるために?
できるものなら見せてくれ。
そうすれば私にも出来そうな気がしてくるから。少しはこの恐怖が和らぐから。



047:貴方が私のものにならないのならば
(これ以上嫌われてしまう前に忘れてしまうのもありだろう)





―…―…―




八つ当たりし過ぎだろ上級大尉

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あきゅろす。
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